新たなチャレンジに、4年連続JRAリーディングジョッキー・ルメールの胸も高鳴る。昨年の
最優秀短距離馬グランアレグリアと目指す次なるステージは、中距離G1・
大阪杯(4月4日・阪神)。キャリア初の2000メートル戦にも、不安より楽しみの方が大きい。
「去年は千二、千六のG1を勝って、素晴らしい年でした。去年の1年で大人になりましたね。2、3歳の時はスタートから(行きたがる気持ちが)ストロングで短い距離の方が良かったけど、だんだん落ち着いて、乗りやすくなりました。だから、距離を延ばすことができると思います」
パートナーの最大の武器は瞬発力。どの位置からでも放つことができる切れ味鋭い“鬼脚”に、全幅の信頼を寄せている。
「
スプリンターズS、マイルCSでも素晴らしい末脚を使ってくれました。ポテンシャルはとても高いです。二千は初めてですが、阪神の内回りはスピードも必要で、最後に瞬発力も必要ですから、合うかもしれないですね」
史上3頭目の無敗の3冠馬
コントレイルを筆頭に、
サリオス、
レイパパレなど強力なラ
イバル勢も参戦する。ただ、それでもフランスの名手の表情は明るい。
「すごいメンバーです。
コントレイル、
サリオス、本当に強いです。ただ、
アーモンドアイは、
コントレイルを負かしました。
グランアレグリアは、(20年
安田記念で)その
アーモンドアイに勝っていますから」
自信の裏には、相棒を手掛ける名伯楽の存在がある。来年で定年を迎える
藤沢和雄調教師(69)=美浦=とは、これまでも数々の栄冠をつかんできた。
「日本に来てから彼は僕をたくさん応援してくれて、大きなサポートをしてくれました。
スーパーレジェンドトレーナーで、馬をよく分かっています。僕のライディング
スタイルと、彼のトレーニング
スタイルは合いましたね。ずっといい関係がありました。
レイデオロ、
ソウルスターリング、
グランアレグリア、
タワーオブロンドン。一番は(17年)
オークス、ダービーを2週続けて勝ったことですね。すごかったです」
敬愛し、信頼する指揮官への感謝の思いは尽きない。だからこそ、調教師生活が残り1年を切った今、少しでも多くの勝利を届けたいと燃えている。
「一緒に競馬をする時は、いつも自信があります。僕は彼のトレーニングを、彼も僕の乗り方を
リスペクトしていて、だからいい結果が出せたんだと思います。(定年は)本当に残念です。もっと早く日本に来ていたら良かった(笑)。今年は、彼の馬とたくさん大きなレースを勝ちたい。G1(タイトル)を渡したいですね」
熱い思いとともに迎える大一番。最強タッグの特別な戦いが始まる。(デイリースポーツ・大西修平)
提供:デイリースポーツ