昨秋の
ジャパンCで無敗の3冠馬
コントレイル、
デアリングタクトが
アーモンドアイに敗れたことで、4歳以上のオープン馬で「無敗」の看板を背負っている現役馬は
レイパパレ1頭となった。
新馬戦から1、2、3勝クラスを駆け上がり、前走のチャレンジCで無傷の5連勝を達成。
コントレイル、
デアリングタクトとは戦ってきたステージが違うとはいえ、圧巻だったのは前々走の
大原Sだ。
秋華賞無念の除外で“前座”を務める形になったうっぷんを晴らすかのように、外回り1800メートルをほぼ馬なりのまま1分46秒3で走破。
ちなみに
秋華賞が内回り2000メートルで2分00秒6の決着。異なる舞台とはいえ、プラス1ハロンを14秒2以内にまとめていれば…机上の計算では勝っていたことになる。仮に出走がかなっていれば、
デアリングタクトの牝馬3冠達成を阻止していた可能性は十分にあった?
実際、
デアリングタクトの主戦を務める松山は「あの馬が出ていたとしたら…」と脅威を口にしていたという話が伝わっているし、検量室にいた調教師や他の騎手たちからも「
デアリングタクトと
レイパパレの対戦が見たかった」との声が多く出ていたとか。それだけ記念すべき牝馬3冠達成の直前のレースは大きなインパクトを残していたのである。
続くチャレンジCで
ブラヴァス、
ヒンドゥタイムズといった強豪に付け入る隙を与えなかったのも当然の話。もはや最高峰の舞台を基準に論じていくべき馬と言っていいだろう。
そうなると、道中で折り合いを欠き、3角過ぎには我慢しきれずに先頭に並びかけてしまったレースぶりは、そのまま押し切ってしまったとはいえ、今後へ向けて課題の残る内容ともできるが…。そのチャレンジCは「いつもと様子が違っていた」と担当の時岡助手は証言する。
「夏の新潟(
糸魚川特別)を使ったときでも汗をかくことがなかったほどなのに、前走は激しくイレ込んでしまって…。あれだけ汗をかいていたのは初めて。馬場入場でもうるさいところがあったし、この馬としては間隔を詰めて使った影響もあったのかな」
真夏の新潟でも涼しい顔をして歩いていた馬が、冬場の前走であれだけ汗をかいていたのは精神的に何かしら苦しいところがあったとみるべきなのだろう。それでも折り合いを欠きながら、勝ち切ってしまったのだから、まさに底知れない。
「今回は(放牧先から)馬体がフックラして帰ってきたし、しっかりと間隔も空いているので前走のようなことはないはず。このメンバー相手に、どれだけの競馬を見せてくれるのか楽しみ」と時岡助手は期待のほうが大きい口ぶりだ。
その
レイパパレの快進撃を陰で支えている?のがNMB48に所属する石塚朱莉。トレセン内にはAKB48グループのファンが多く、時岡助手にいたっては劇場公演にもよく足を運ぶほどらしい。そんな時岡助手が担当する
レイパパレの馬房の前には石塚朱莉のクリアファイルが2つ張られており、無傷の5連勝もそこから始まったとか。まさに「勝利の女神」といっていいほど心強い存在になっている。
この
大阪杯(4日=阪神芝内2000メートル)には新たなステージを求めて参戦してきた昨年の
最優秀短距離馬グランアレグリアに、
最優秀3歳牡馬コントレイル、同世代のラ
イバル・
サリオスなど、現役屈指の実力馬が揃っており、相手に不足はない。
石塚朱莉のクリアファイルを置いてから始まった不敗神話。今回もこれら実力馬を“朱に染める”ような走りを見せて「
レイパパレ時代」の到来を告げてしまうかもしれない。
(栗東の遠吠え野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ