厩舎関係者らが新型コ
ロナ対策の国の持続化給付金を不適切に受給していたとされる問題で、JRAは10日、2度目の調査結果報告説明会を中山、阪神競馬場で行い、調教師会、騎手クラブの内規に基づく関係者170人の処分を発表した。
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厩舎従業員らの処分について、JRAが「各会の内規に基づく」と説明したのが3月6日の記者会見。それから約1カ月。国民が納得するか否かは処分の内容が鍵を握ると言っていい。ところが-。
騎手も調教師も戒告止まりだった。調教師会の規則では重いものから「除名」「退会勧告」「会員資格停止」「けん責」「戒告」の5段階があり、「厳重注意」と「注意」は戒告にも満たないレベル。その戒告ですら2月の報道までに給付金を返還しなかった調教師3人だけだ。甘い裁定と言わざるを得ない。
調教師として痛手なのは減収にもつながる馬房数削減だが、権限を持つJRAは「処分に関してはこれが最後」と説明。追加のペナルティはないという。関西本部長・中竹師の「反省をしていましたので、われわれとしてはしっかりとした処分という認識」という言葉に、一体誰が納得するのだろう。
馬主資格を有する男性税理士への処分にも疑問が残る。木村常務理事は「馬主登録の取消事由に該当しない。公正確保を阻害する行為ではない。抹消、取消は考えていません」と馬主活動を継続できると示した。馬主が立場を利用して営業や勧誘を行うことが、公正確保を阻害していないのか…。
会見では「不正ではなく不適切」と説明する場面があった。そもそも「認識が甘かった」「無知だった」が通るのは、調教師会から注意喚起のあった11月までの話だ。それ以降の受給や返還しなかった者は「不正」とし、毅然とした態度で処分すべきではなかったか。国民感情とかい離する裁きで幕引きを図る姿勢に、首をかしげるしかない。(デイリースポーツ・井上達也)
提供:デイリースポーツ