ゲートに先入れになった
吉田隼人の
ソダシは、内目の4番枠からポンと好スタートを切った。同じく速いスタートを切った6番の
ストゥーティを先に行かせ、2、3番手の内を進む。
「馬場に入ってからゲートに向かって行くときも、あまりイヤイヤをしませんでした。ゲート裏で輪乗りをしているときの雰囲気も、この間(阪神JF)よりよかったので、いい感じで挑めました」と吉田。
一方、1番人気の
サトノレイナスは、大外18番枠から遅れ気味のスタートを切った。
また、この馬が行くか、下げるかで展開が大きく変わると思われた
メイケイエールも立ち上がり気味にゲートを出て、序盤は後方に置かれる形に。そこから無理には抑えず、馬群の隙間を縫うように進出し、3コーナーを回りながら先頭に立っていた。
ソダシは、向正面で、逃げる
ストゥーティから1馬身半ほど後ろにつけていた。外を他馬に塞がれる格好になり、馬場の悪いところを走らされるかに見えたが、内埒から馬1頭半分ほど離れたところを進んでいる。
メイケイエールがハナを奪ってからも、好位の内でじっとしていた。
メイケイエールが先頭で4コーナーを回り、直線へ。直線入口で
ストゥーティが
メイケイエールをかわして先頭に立つと、
ソダシはその外に持ち出されてスパートした。
ラスト200m手前で、吉田の左ステッキを受けた
ソダシが先頭に躍り出た。
1馬身、2馬身と抜け出した
ソダシを、
ファインルージュが追いかけ、少しずつ差を詰めて行く。
外から
アカイトリノムスメも追い上げてくる。さらに外から
サトノレイナスが凄まじい脚で追い込んでくる。
サトノレイナスが1完歩ごとに差を詰めてくるが、
ソダシはすでにセーフティリードをつけていた。
ソダシは、2着
サトノレイナスの猛追をクビ差でしのぎ、史上初の白毛馬によるクラシック制覇をなし遂げた。
「最後は、これだけ高速馬場だったので、ちょっと分が悪いかなと思ったのですが、馬の力に助けられました」と吉田。
分が悪いどころか、1分31秒1という、驚異的なレコードを叩き出した。
早めに先頭に立って押し切るという、この馬の強い競馬の形を見せることができたのは、吉田が馬の力を信じていたからこそだろう。
(文:島田明宏)