先週末に
JRAが幕引きを図った持続化給付金問題。おそらくこれが他業種で起きたなら、組織再編を免れない“不適切な”事案であろう。
それだけに処分の妥当性には社会通念上、首をかしげざるを得ないが、何より残念なのは当事者および監督責任ある
JRAサイドの“逃げ得”感が、組織のコンプ
ライアンスに不信感を与えていること。
「しょせん競馬は…」の声を受け、受給申請しなかった側の関係者の怒りは果たしていかほどか。関わった馬主、調教師、騎手ら当事者の弁が(匿名にせよ)聞こえてこない限り、信頼回復は根本的に厳しいはずなのだが…。
さて、不透明さという点では今週のGI
皐月賞の力関係も同様か、もしくはそれ以上だろう。昨年の2歳王者
ダノンザキッドを筆頭に各
トライアルは1番人気がすべて敗退。一筋縄でいかぬ前哨戦が混戦に輪をかける。
加えて週末が雨予報とあれば、今回の処分以上に不可思議な結末もあろうか。そんな中、当方が応援したいのは7番人気の
スプリングS2着で夢切符をつかんだ
アサマノイタズラ=
嶋田純次のコンビ。送り出す
手塚貴久調教師が語る。
「前走勝てなかったのは残念だが、2走前(
水仙賞4着)のように詰まるのが嫌で積極策で運んだ結果だからね。これまでクラシック登録さえしてなかった隠れキャラだけど(笑)、GIでも人気ほど差はないはず。二千への延長はプラスだし、前走を見ても道悪はまったく苦にしないので」
雨中決戦となった
スプリングSは人気の
ボーデン、
ランドオブリバティを徹底マークで負かしに行く競馬。早め先頭に立った直線で
ヴィクティファルスにうっちゃられたが、勝負に勝って競馬で負けた格好である。それだけに担当の滝口政司厩務員も確かな手応えで鞍上にエールを送る。
「デビュー当初はユルユルだった馬が格段にしっかりしてきた。普段の運動でもすごく落ち着きが出たね。この世界に40年いるけど、これだけ変わる馬もなかなかいないよ。(嶋田)ジュンジにとって今回は初めてのGIとはいえ、調教では(GI馬に)いっぱい乗ってきたんだからさ(笑)。騎手人生がかかる舞台でも自信を持って乗ってきてほしい」
江戸時代、天明3年(1783年)に大噴火を起こしたのが浅間山。上毛カルタにある「浅間のいたずら 鬼の押し出し」はこの噴火で流れ出た溶岩が生み出した“日本の
ポンペイ遺跡”をうたったものである。
「前走は検量室で応援しすぎて声がかれた」と話すのは後輩騎手の
石川裕紀人。愛されキャラの純次が
皐月賞で人気馬をのみ込む大噴火を起こせば…。この心のモヤつきも少しは取れそうな気がする。
(美浦の非常識野郎・山村隆司)
東京スポーツ