先週『
桜花賞』(阪神・芝1600m)では、
ソダシ(吉田隼)が人気に応えて快勝。白毛馬で初のクラシック制覇で、新たなスター牝馬の誕生となった。続く今週日曜日は、牡馬クラシックの1冠目となる『
皐月賞』(中山・芝2000m)が行われる。
今年の『
皐月賞』は、ひと言でいえば大混戦。圧倒的な人気馬がいないかわりに多くの馬にチャンスがあり、そのぶん、馬券としては妙味が期待できるレースとなりそうだ。
理由は、
トライアル戦『
ディープインパクト記念・
弥生賞』で、単勝オッズ1倍台に支持された圧倒的人気馬
ダノンザキッドが3着に敗戦してしまったことにある。同馬は昨年の2歳GI『
ホープフルS』1着馬。過去2年『
ホープフルS』1着といえば、
コントレイルと
サートゥルナーリアがいるが、いずれもレースを挟まずに『
皐月賞』へ直行して勝利を飾っていた。つまり、
ダノンザキッドも『
皐月賞』直行であれば1番人気になったはずなのに、『
弥生賞』で負けてしまったことで信頼が揺らいでいるのだ。
かわって1番人気になりそうなのは
エフフォーリア(横山武)。この馬は、前走が東京競馬場の『
共同通信杯』(GIII)1着馬。デビュー以来3連勝で、まだ無敗のキャリアを保っているのも人気の一因。父が13年に『
皐月賞』2着だった
エピファネイアということもあり、初コースとなる今回の中山競馬場でも心配はないのかも。
ほかにも
ディープインパクト産駒で前走『
すみれS』1着の
ディープモンスター(戸崎圭)。前走『
若葉S』1着でルメール鞍上が心強い
アドマイヤハダル。さらには『
弥生賞』で
ダノンザキッドに勝った
タイトルホルダー(田辺)。『
スプリングS』1着
ヴィクティファルス(池添)と有力馬はけっこう揃った。
それでは『
皐月賞』の馬券的傾向を探っていこう。簡単にいえば『
皐月賞』は「けっこう堅いが、たまに大荒れする」という傾向。言い換えれば、狙いを定めづらいレースである。過去10年、馬連配当は3ケタ配当が5回で、4ケタ配当が4回(うち10倍台が2回)。万馬券となったのは10年間でわずかに1回だけ。穴狙いばかりしていても、成果の少ない返り討ちにあってしまうのだ。
3連複でも万馬券になったのは、過去10年で2回だけ。意外にも100倍以下の配当が多い。ちなみに3連単馬券は、4ケタ配当が2回、5ケタの万馬券が6回、10万円超1回、100万円超1回という構成である。
では実際、馬券はどう狙っていくのがいいのか、過去10年データから探っていこう。まず『
皐月賞』1着馬は「前走・重賞勝ち馬」が10年中8回と圧倒的に成績が良い。しかも、前走『
ホープフルS』『
共同通信杯』『
スプリングS』『
毎日杯』1着馬に限られる。
とくに成績いいのは前走『
共同通信杯』1着馬で、過去3回も優勝している(12年
ゴールドシップ・14年
イスラボニータ・16年
ディーマジェスティ)。例外の2回(15年
ドゥラメンテ・18年
エポカドーロ)にしても、前走重賞2着馬(
共同通信杯と
スプリングS)だ。
ここを重視するならば、今年該当するのは
エフフォーリア、
ヴィクティファルスの2頭となる。勝ち馬であっても、前走『
若葉S』『
すみれS』はオープン戦だし、前走『
きさらぎ賞』『
京成杯』1着馬は重賞でも前例がない。『
ホープフルS』1着
ダノンザキッドは前走で負け、『
毎日杯』1着
シャフリヤールは不在である。
続いて2着候補となるとこれは多彩になる。傾向とすれば「オープン以上の1着馬、もしくは
弥生賞4着馬(2回)、
スプリングS2着馬」。今年でいえば1着候補として挙げた先の2頭に加え、
アドマイヤハダル、
グラティアス、
タイトルホルダー、
ディープモンスター、
ラーゴム、
アサマノイタズラが該当する。
さらに3着候補となると、以上に挙げた馬に加え、
弥生賞3着、
若葉S2着などが加わる。ここでようやく
ダノンザキッド、
シュヴァリエローズが入ってくるわけだ。やはり今年は、
ダノンザキッドの変則ローテが結果にどう影響するかが焦点になってきそう。
もちろん、前例のない馬が好走しても不思議はない『
皐月賞』。ただ過去10年データを重視するならば、名前を挙げた馬でのフォーメーション馬券構成は、乱戦を紐解くひとつの選択肢となってくれるはずだ。
(netkeiba・大石川大二郎)