門別2歳馬のレベルの高さは周知の事実だが、とりわけ牝馬の短距離路線は層が厚い。実際、
エーデルワイス賞は4年連続で地元馬の優勝が続いている。そしてその最重要
ステップとなるがこの
リリーカップである。今年もこの中から2歳女王が誕生する可能性は高い。
栄冠賞やフルールカップなど重賞での経験値、それがなくても1200mでの実績を重視するのが、予想の定石である。本命視した
スカーレットピースはどちらにも該当しないが、その不足を補って余りある魅力がある。
その根拠は無論、2着に2秒7差をつけて勝利したデビュー戦にある。1100m1分8秒5というタイムは一見、水準レベルだが、この日はタフな馬場状態に加え、直線の強烈な向かい風で極端に上がりを要していた。少なくとも2秒程度は補正を加えるべきであり、現在のレコードが1分6秒だから、つまり1頭だけ破格の時計で走ったことになる。それでいて、ラストは余力を感じさせる体勢であった。1200mも相手強化も大きな壁にはならないはずだ。鞍上や馬主など人気を加速させる要素は多いが、非凡な素質を純粋に評価したい。
フルールカップ組からは
エイシンヌプリを最上位に取る。重馬場のスピード比べでは勝ち馬に分があったが、クビ差まで詰め寄ったのが実力である。走り慣れた1200mに替われば逆転できるだろう。内目の枠で
栄冠賞のように揉まれる形になるリスクはあるが、スタートさえ決めれば上位争い必至だ。
レディオスターは重賞経験こそないが、充実度では引けを取らない。出遅れながら直線だけで差し切った前走は一皮むけた感があり、末脚の鋭さはここでも大きな武器になろう。この重賞10勝を誇る角川厩舎のスター候補である。
3連勝でフルールカップを制した
スティールルージュの実績には当然、一目置くべき。他にも、距離延長で前進可能な
グランツ、ここ2戦が秀逸な
ツーシャドーなど、今後も注目していきたい
タレントが豊富である。
(文:競馬ブック・板垣祐介)