JRA勢の上位独占も多いダート
グレード競走にあって、唯一、地元馬優勢の傾向を示すのがこの
エーデルワイス賞だ。
JRA勢の優勝は2016年の
リエノテソーロ以降なく、また過去10年で見ても、地元馬が連に絡まなかった年はない。予想をする上でも、あくまで地元勢中心の考え方を採るべきだろう。
その中でも、
ステップレースでしっかりと結果を残してきた馬たち、フルールカップの
スティールルージュ、
リリーカップの
スピーディキック、
イノセントカップの
レディーアーサーは当然、勝利に近い存在だ。これに、牝馬重賞路線で上位争いを続けてきた
エイシンヌプリを加えた4頭が、今年の地元馬上位グループということになる。徹底先行型のスティール、自在型のレディー・エイシン、直線勝負型のスピーディ、どの馬の良さが生きるかは展開次第だが、激流必至の様相で、脚をタメて運べるタイプの方が狙いは立てやすい。
実績は上記4頭に及ばないものの、
スカーレットピースもポテンシャルは互角以上のものを秘めている。
リリーカップでも本命視したが、改めてその素質を見直したいと筆者は考えている。
リリーカップの敗因は、オーバーペースを先行して余力をなくしたこと。結果、中団から後方に待機していた2頭のワンツー決着を招いた。
しかも、3角までに押して位置を上げに行ったことで、引っかかってしまった。つまりは、レースの流れと馬自身のキャリアの浅さが相俟って、勝つための手段が結果的に裏目に出たということである。デビュー戦で見せたスピードの絶対値と瞬発力は相当なもの。今回は折り合い重視で運ぶとのことで、今度こそ能力全開の走りを見たい。
JRA勢では、初ダートの未勝利戦を楽勝した
ヒストリックノヴァが一歩リードだろう。中山での好時計は砂の深い門別ダート戦に必ずしも直結しないが、伸びしろの大きさに注目だ。仮に
JRA勢4騎のどれかがここを勝つようだと、その馬の将来性は一気に高まることになる。
(文:競馬ブック・板垣祐介)