冬の便りは速達で届いた。みぞれのような雪がうっすらと積もった道を車が走っていく映像とともに、「札幌近郊の中山峠では1センチ程度の積雪が…」と報じられたニュース映像をご覧になった方も多いだろう。道内はここ数日でにわかに、空気が冬のものへと入れ替わった。この試される大地というやつは、慌てて冬支度をする人々を見て愉快に笑っているのだろうか。今朝方、車のフロントガラスが凍りついているのを必死にカーエアコンとワイパーで溶かしていた筆者も、滑稽な
コメディアンのひとりというわけである。
さて、門別2歳牝馬は例年通りハイレベルだが、中距離タイプとして頭角を現した馬は少なかった。その中で、フ
ローラルCを制した
コスモポポラリタは頭ひとつ抜けた存在である。今回の舞台は外回り1700mだが、3走前に勝ち鞍もあり、同条件のサッポロクラシックCでは強力牡馬相手に4着と健闘も見せている。重賞経験のない馬がほとんどという今回のメンバーには胸を張って戦える立場であり、中心視は当然だ。
もしこの下馬評をひっくり返せるとすれば、蕾のままだった素質がここで開花する可能性を持つ馬である。穴狙いが常の筆者は、
ヤマイチリリーのそれに一縷の望みを託した。遡ること7ヶ月、デビュー前の能検で見せた走りには非凡なポテンシャルが感じられた。ここまで出世が遅れたのは、レースパターンを確立できなかった点にあるが、前走、敢えて馬群の中で我慢させて末脚を伸ばした内容は、差し馬として花開く
キッカケとなるものだった。前走は内回り戦だったが、タメて弾けさせるとなれば今回の外回りの方が明らかにいい。季節外れのユリの花は、さぞ情緒的で美しかろう。
仮にコスモ不動の見解を取ったとしても、
ヤマイチリリー含めて相手の厳選は難しい。連勝で勢いのある
ローズティアラを筆頭に、フ
ローラルC4着の
カーロデスティーノ、距離経験豊富な
ティーズハクアなど、手広く流したほうがベターである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)