死球により警告試合となった18日の阪神―
ヤクルト戦が様々な議論を呼んでいる。発端は16日に先発登板した投手=藤浪晋太郎。山田哲人、塩見泰隆の主力2人に死球を与えただけではない。問題なのは頭部付近にすっぽ抜けの“危険球”が降板まで何度も見られたこと。改めて議論すべきは、コントロール不能の投球が果たして金を取って見せるプロの試合においてふさわしいのか、だろう。もっとも紙面上で予想の印を打つ我々とて、しばしば“危険球”を放りかねない立場。「プロらしさ」とは何かを、常に胸元に突きつけられていることを自戒したい。
さて、今週のGII
フローラS(東京芝2000メートル)には“サラブレッド界の藤浪”が登場する。昨年の阪神JF3着
ユーバーレーベンがその馬だが、当方がそう命名した契機は昨年の
札幌2歳Sだ。最後方から一気のマクリで
ソダシとクビ差(1分48秒2=レコードの2着)であったが、手綱を取った
戸崎圭太の口調は結果と対照的に怒気に満ちていた。
「ゼロかトップしかギアがない。惜しいとかじゃなく、こんな操縦性では全然ダメでしょう」
当時の走りがどれだけ幼稚で制御不能であったか。以降スッパリと主戦を降りた鞍上の態度が如実にそれを示している。次走の
アルテミスS(9着)で新コンビを組んだ
柴田大知もふてくされて検量室に戻ってきており、まさに“危険球”と形容すべき走りは続いたのだが…。
一転して
ミルコ・デムーロが手綱を取った年末のGIは、再び0秒1差3着の大激走。コントロールに難がありつつ秘めたるポテンシャルも並ではないところが“サラブレッド界の藤浪”たる最大の理由である。
「前走は鞍上が少し大事に乗りすぎたね。(末脚を)過信しすぎて(追い出しを)待ちすぎた感じもする。ミルコのように3角で吹かしていけば違ったと思うけど、まあ、そこは初めて(丹内が)乗ったわけだから」
3着に終わった
フラワーCをこう振り返るのは指揮官である
手塚貴久調教師。大事に乗らざるを得なかったかもしれないが「前走は予定した
チューリップ賞を疝痛で使えずスライド出走の影響もあった。在厩で調整して上積みはあるし、東京二千の舞台に替わるのも魅力だから」と指揮官は初タイトルに今度こその構えを示す。果たして剛球が決まるか、危険球が飛び出すか。本番
オークスのみならず自身の未来をも占う“登板”が待っている。
(美浦の棒球野郎・山村隆司)
東京スポーツ