「天皇賞(春)・G1」(2日、阪神)
27年ぶりの仁川決戦を制したのは、3番人気の
ワールドプレミア。鮮やかな差し切りで19年
菊花賞に続く、2つ目のタイトルを獲得した。コンビを組んだ福永にとっては、父・洋一氏との親子制覇、そして史上4人目となるJRA重賞通算150勝と記録ずくめの勝利となった。2着は1番人気の
ディープボンド、3着には4番人気
カレンブーケドールが入った。
長距離戦では負けられない。19年
菊花賞の覇者
ワールドプレミアが、初コンビの福永を背に持ち前の息の長い末脚を発揮。レースのラスト1Fが13秒0まで落ち込む我慢比べとなった“死闘”を制し、名実ともに長距離界のトップに君臨した。
課題だったスタートは理想通りとはいかなかった。それでも「内枠を生かして楽にいいポジションを取ることができた」と、前半1000メートル通過が59秒8というよどみない流れの中、中団をリズム良く追走した。2周目の3角手前で外を上がってきた
ウインマリリンに合わせ、徐々に進出を開始。絶好の位置で4角をパスすると、最後は前を行く1番人気の
ディープボンドを3/4馬身差でねじ伏せた。
「馬が頑張ってくれたことに尽きる。考えていたよりも早く外に出したけど、耐えて長くいい脚を使ってくれた。全馬が死力を尽くした中で抜け出してくれたように、本当に立派なステイヤーです」と相棒の頑張りを絶賛。そして「天皇賞という格式の高いレースを勝てて誇りに思う」と、父・洋一氏(76年
エリモジョージ)との史上2組目となる春盾父子制覇をかみしめた。
同馬の兄は大器と呼ばれた
ワールドエース。コンビで臨んだ12年ダービーは1番人気で4着に敗れ、悔しい思いをした。だからこそ、「この血統でG1を勝てたことが、自分にとっては大きい」と感慨深げだ。44歳を迎えてもなお、さえ渡る手綱。この勝利で8大競走完全制覇へ
有馬記念を残すのみとなった。
08年の
アドマイヤジュピタ以来、2度目の制覇となった友道師は「なかなかパンとしてこない馬が、前走後は調教のペースを上げられたので楽しみは大きかった。最後は我慢比べになったけど、よく頑張ってくれた」と目を細め、「まだまだ良くなる」と、いまだ成長半ばを強調した。5歳馬ながらキャリアはわずか11戦。進撃はここから始まる。
提供:デイリースポーツ