今年で26回目を迎える
NHKマイルC(9日=東京芝1600メートル)は、内国産馬のレベルの変遷を照らす象徴的なレースである。
日本ダービーが外国産馬に初めて門戸(最大2頭)を開いたのが01年でもあり、96年の創設当初は人呼んで「マル外ダービー」。クラシックに出走できない外国産馬のための舞台として、第1回優勝馬
タイキフォーチュンから
クロフネに至るまで6年連続で外国産馬が日本馬を圧倒してきた。
しかし02年
テレグノシスのVから歴史は大きく動いていく。当初のマル外ダービーのフレーズが嘘のように、以降は内国産馬(持ち込み馬
キングカメハメハを含む)が怒とうの19連勝。21世紀を皮切りに日本馬の本格的な世界進出が始まるが、その実力アップを端的に示す舞台が春の3歳マイル王決定戦であったのだ。
さて今年、内国産全盛の時流と逆行する形ではあるが、当方が注目するのは20年ぶりのマル外馬Vに挑む
シュネルマイスターだ。
弥生賞で0秒2差の2着と
皐月賞の優先権を得たものの、一転してクラシックの切符をかなぐり捨てて参戦へ。その選択に漂うのは「マル外ダービー」と呼ばれた当時のマル外馬に共通する強烈な意気込みである。送り出す
手塚貴久調教師が話す。
「前走は上手に走っていたし二千も守備範囲と思う。ただ、最後もうひと伸びできなかったところを見れば、勝つチャンスが大きいのはマイルの舞台でしょう。もちろん
皐月賞を断念したということは、相当の覚悟を持ってここを使うということでもあります」
桜花賞馬
ソダシ、
皐月賞馬
エフフォーリアを筆頭に、今年の3歳馬は北海道デビュー組がこぞって大ブレーク中。そのいずれにも共通する非凡な成長力を、同馬が確実に秘めることも師は伝えてくる。
「まだ緩さは残るけど、落ち着きが出て心身ともに階段を上がっている。デビュー当初とは別馬だし、前走時とも中身は全然違いますよ。稽古で見せる迫力は、過去のGI馬と比べて何ら遜色ないですからね。高速馬場への対応はカギでも、好結果を求めたい」(同師)
いざ、20年ぶりの外国産馬優勝へ。「マル外ダービー」に向けた本気度を注目して損はないはずだ。
(美浦の懐古野郎・山村隆司)
東京スポーツ