1分31秒1のスーパーレコードで、昨年の
デアリングタクトに続く無敗の
桜花賞馬に輝いた
ソダシ。第1冠でクビ差に迫った
サトノレイナスがダービーへの参戦を決めたとなると、
ソダシの2冠制覇を阻むものは、もはや何もないのか?
大勢逆転があるとすれば、2400メートルへの距離延長が圧倒的に味方するか、あるいは
桜花賞ではない別路線からの参戦馬に可能性を見いだすしかなかろう。当欄は両要素を満たす存在として、
トライアルの
フローラSを制した
クールキャットに狙いを定めた。
前走は初めての距離2000メートルながら、自身では最速となる上がり33秒4をマークした。それまでの最速が
アルテミスS時の34秒0。これを“東京で距離が延びてのパフォーマンス向上”と捉えれば、2400メートルの第82回
オークス(23日)でさらに良さが出る可能性を秘めているのではないか。
前走後はノーザン
ファーム天栄への短期放牧を挟み、12日に美浦へ帰厩。俗に言う“10日競馬”で挑む形となるが、「筋肉のラインが浮き上がって、前走から上積みのありそうな雰囲気で帰厩してくれたのは何よりです。以前はポワンと見える体つきだったけど、“こうなってくれたら理想的”と思える感じになってきましたね。イメージ通りに成長してくれています」と管理する
奥村武調教師の
オークスへ向けての口調は前向きだ。
改めて
クールキャットの蹄跡を振り返ると、新馬勝ちを決めてからはすべて重賞に挑戦。
アルテミスS5着→
フェアリーS10着→
フラワーC5着と期待に見合う成績を上げてはいなかったが、「東京の2000メートルが舞台の
フローラSなら変わってくれると信じていた」と言う。
ちなみに新馬戦で2馬身差2着に完封したのは
NHKマイルCでハナ差2着に激走した
ソングライン。客観的事実もトレーナーが抱いた期待は間違っていなかったことを証明している。
「デビュー前から調教では他の馬がついて行けないくらいの動きをしていましたからね。この舞台に間に合ってくれて本当に良かった。母の
メジロトンキニーズは長い距離でいい競馬(2006年
ダイヤモンドS2着)をした馬で、距離に関してはどんとこいですからね。もちろん、(
ソダシら)王道を歩んできた馬は本当に強いと感じているし、
チャレンジャーの気持ちですけど。付け入る隙はあるとは思うし、何よりあれだけの人に乗ってもらえるのはワクワクしますよね」
奥村武調教師が口にした“あれだけの人”とは新コンビを組む
武豊に他ならない。19日に予定されている最終追い切りで感触を確かめることになっている。1993年の
ベガに始まり、95年
ダンスパートナー→96年
エアグルーヴで連勝と、現役ではトップタイの
オークス3勝を挙げている名手は、手綱を通してどんな感触を得て、何を口にするのか?
その感触次第では一気に打倒
ソダシの急先鋒に浮上してくるかもしれない。
(立川敬太)
東京スポーツ