「
日本ダービー・G1」(30日、東京)
無敗の
皐月賞馬
エフフォーリア、紅一点の
サトノレイナスをはじめ、
グレートマジシャン、
グラティアスが放牧先としているノーザン
ファーム天栄(福島県)。現場責任者である木實谷雄太場長(40)に、この2頭の牧場での過ごし方をはじめ、大舞台への思いを語ってもらった。
◇ ◇
-21年は計4頭を送り出す。中でも
皐月賞馬
エフフォーリアには注目が集まるが、初めて見た時の印象は。
「背中から腰回りにかけてが寂しく映り、いかにも成長途上といった印象でした」
-その時点では
皐月賞を勝つまでのビジョンはなかった。
「これはどの若馬にも言えることですが、最初にそこまで(クラシックを)思い描くことはありません。ただ体が大きく緩い面があったので、初戦はしっかり動かせる騎手に乗ってもらった方がいいかな、と思ったのは今でも覚えています」
-改めて
皐月賞を振り返ると。
「
共同通信杯は道中、力み気味に追走していました。ですので
皐月賞までの中間は、コントロール面の修正を重点的に。レースで積極的に前に取りついても折り合えたことと、
ゴーサインを出してからの反応の速さを見る限り、牧場で取り組んでいた成果が生きたかなと思います」
-成長を感じる点は。
「まだまだ物足りないところはありますが、回復するスピードは一戦ごとに早くなっていますね。そのあたりは体質が強くなっているのかなと」
-4月21日に放牧に出され、5月13日の入厩まで天栄で調整していた。この中間は。
「約3週間、限られた時間の中でできる限りのことをしたつもりです。まずは疲れを取り、かつ緩め過ぎないことを主に取り組みました。4月26日に乗り出してから、予定通りの調教をこなせていましたよ」
-
桜花賞2着馬
サトノレイナスも参戦。
「天栄で調整するようになったのはデビュー後からでしたが、育成をしていた北海道の評価も高く、期待の一頭でした」
-
阪神JF、
桜花賞と連続2着。20年末から
桜花賞まで牧場で調整していた。
「20年末の阪神遠征後、背中から腰の疲労回復に時間がかかり、国枝先生と相談して
桜花賞に直行することになりました。この中間は美浦在厩のままですが、先生からは順調に調整が進んでいると聞いています。今は牝馬でも牡馬一戦級と戦える時代。牝馬ということは全く気にしていませんし、牡馬相手でも力を出し切ってくれれば。楽しみですね」
-木實谷場長にとってのダービーとは。
「馬主さんや(出資)会員さんが憧れる、格式の高いレースであることは認識しています。当然、自分としても使ってあげたい気持ちではいるのですが、使った後のリスク(ダメージ)が大きいことも重々承知しているので、状態の見極めだけは間違えないように心掛けています」
-決戦も間近。期待のほどは。
「恐らく1番人気に支持される馬がいると思いますが、それはとても光栄なこと。ただ天栄で調整した馬は他にもいますので、まずは全馬が無事に走り終え、その中で結果が出てくれれば、これ以上の喜びはありません」
提供:デイリースポーツ