記者が当欄を定期的に担当するようになったのは2018年の2歳世代から。今週から始まる2歳新馬戦でいよいよ4世代目に突入する。18年初っぱなが
グランアレグリア、そして19年は
サリオスをピックアップ。どちらも後のGI馬となると…。この3回東京開幕週の新馬戦は単なるクラシックへ向けたスタートではなく、いわば世代の“ポールポジション”的な扱いをしたほうが正解なのかもしれない。
今年、その名誉ある座を得たのは東京開幕初日(5日)の芝1600メートルに鞍上ルメールで出走予定の
コマンドライン(牡=
父ディープインパクト、
母コンドコマンド・国枝)である。
血統背景を簡単に説明すると、
母コンドコマンドは2歳時にG1スピナウェイS(ダート1400メートル)で13馬身1/4差圧勝を決め、翌年のケンタッキー
オークスでは2番人気(9着)に支持されたほど。全兄には現4歳の
アルジャンナ(東スポ杯2着など2歳時から活躍)がいる。これだけの良血が6月デビューに向け順調に調整されていれば、注目を集めるのは当然。そしてそのポテンシャルの高さを知らしめたのが先月19日の南ウッドでの併せ馬だった。
当時はまだレースへ向けての2週前追い切りという段階。しかも併せた相手が古馬オープンの
サトノフラッグとなると“さすがに相手が悪過ぎる”と思わせたが、直線で一旦はかわされそうになりながらも、そこからしぶとく食らいついて併入に持ち込んでみせたのだ(5ハロン66.9-11.9秒)。まさに“本物”を証明した瞬間。この動きには国枝調教師も「ケチのつけようがないな。馬体も立派で迫力がある」と感嘆の言葉を漏らしていたくらいだ。
翌週の南ウッド1週前追い切りではルメールが騎乗し、3歳未勝利馬を相手に2馬身の先着と動きは一段とすごみを増していた(5ハロン66.9-12.1秒)。
「来年のダービーまで寝られないな(笑い)。相手が動かなかったとはいえ、時計も十分。ルメールさんは“まだ良くなる余地がある”と言っていたけど、もう当週にサッとやれば大丈夫だろう。今の時期では十分な仕上がり。
バランスが良くて見栄えがする」と国枝調教師がべた褒めなら、ルメールも「すごくいい感じでした。馬体もそうですけど、ス
トライドが非常に大きい。まだ太い感じはしましたが、これからですからね。ポテンシャルはとても高い。(来年の)ダービーも(騎乗の)予約をしておきます」と軽妙に能力の高さに太鼓判を押した。
客観的には
パーフェクトに映る攻め内容で“まだ太い”(500キロ台での出走を見込んでいる)のなら、さらにネジが巻かれたら…と末恐ろしさを感じてしまう。
冒頭通り、後のGI級が数多く出現する東京開幕週の芝1600メートル新馬戦に対して「“登竜門記念”とか、レース名をつけてもいいな」と国枝調教師がユーモアをまじえていたが…。
コマンドラインには
グランアレグリアや
サリオスに匹敵する資質があることだけは間違いあるまい。
(立川敬太)
東京スポーツ