昨年のこの時期の当欄で須貝調教師から「今シーズンは忙しくなるぞ」と言われたことに触れた記憶があるが、まさにその通りの一年だった。
早い時期から「白毛の怪物」になる予感に駆られていた
ソダシは無敗のまま阪神JF、
桜花賞を圧倒的な強さで制覇。
オークス(8着)で不敗神話こそ崩れてしまったが、この白毛の
アイドルホースが社会現象にまでなって、競馬界全体を盛り上げてくれた。
ソダシだけではない。トレーナーが「
バゴ産駒の大物」と期待していた
ステラヴェローチェは
朝日杯FS2着、
皐月賞、ダービーはいずれも3着。GI制覇こそならなかったものの、師の相馬眼が正しかったことを見事に証明した。
ソダシ&
ステラヴェローチェ絡みの原稿を何度書いただろうか。まあ、担当厩舎の馬が大活躍してくれて、多忙を極めることは心地いい疲れでもあるんだけど…って感傷に浸っている暇はない。また新たなシーズンを迎える須貝厩舎の鮮度のいいネタを提供していかなければ…。
土曜(12日)中京芝1600メートルでデビューを迎える
ベルクレスタ(父
ドゥラメンテ、
母ベルアリュールII)は2017年の
ヴィクトリアマイルを制した
アドマイヤリードの半妹にあたる。ウッドでの1週前追い切りは今回コンビを組む松山騎乗で行われ、最後の直線で一旦は前に出られた僚馬を軽く促しただけで一瞬にして2馬身突き放してみせた。刻まれたラスト1ハロンは11.9秒。仕掛けられると即座に
トップギアに入り、フォームが変わる姿に、秘める素質の高さがしっかりと感じ取れた。姉
アドマイヤリードはデビュー戦398キロに象徴される小柄な馬だったが、妹
ベルクレスタはすでに480キロ台。そのうえで姉が売りにしていた瞬発力は妹も確実に有している。
「気性面の癖がない。この時期の新馬でおとなしくて乗りやすいのは、それだけでもすごいことなんですよ。距離の融通性も利きそうだし、今のところ気になるところは何もないね」と橋本助手も手応えを隠さない。
アドマイヤリードは2歳時に2勝を挙げたうえで、古馬で頂点に立ったように、早い時期からの活躍が期待されると同時に、成長力にも富む血統背景。
ベルクレスタの初戦のパフォーマンス次第ではまた忙しいシーズンを送ることになりそうだ。
(難波田忠雄)
東京スポーツ