スマートフォン版へ

【宝塚記念】カデナ7歳にして過去最高の状態「あまりに具合がいい」/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2021年06月25日(金) 18時20分
 ちょうど1年前、宝塚記念を目前に控えた中竹厩舎への突撃取材を敢行した私は、小倉大賞典1着→大阪杯4着と上昇気流に乗り始めていたカデナと、自信に満ちあふれていた当時の陣営の雰囲気にも押され、紙面に「カデナのGI制覇があるぞ」と高々と歌い上げた。

 しかし、レース当日の10R前に阪神競馬場を襲った突然の豪雨が、私と陣営の夢を粉々に打ち砕いた。11R宝塚記念は稍重発表ではあったが…。今、レースを見返しても、馬が脚をかき上げるたびに飛び散る泥の塊が、当時の実際の馬場状態を雄弁に物語っている。

 一瞬の切れ味を武器とするカデナにとってはあまりに酷な馬場。陣営が受けたショックも大きかったのか、今年も昨年同様、中山金杯小倉大賞典大阪杯というローテーションをたどりながらも、その後は宝塚記念ではなく、梅雨が本格化する前に開催される安田記念へ。「体調が上がるこの時期に、少しでもいい馬場状態で競馬をやらせたい」という陣営の祈りにも似た願いを強く感じる選択だった。安田記念当日は陣営の思惑通り、良馬場での開催。4歳春のマイラーズC(14着)以来のマイル戦ということもあってか、屈辱のシンガリ人気となったが…。その評価を覆す0秒5差6着に善戦。それも4角最後方から上がり33秒2で上位に迫る中身を伴ったレース内容。もちろん、直線でぽっかり空いた内を突いた名手・武豊ファインプレーもたたえるべきなのだが、少なくとも7歳にしてなお健在をアピールするには十分なものだった。

 カデナを手塩にかけて育ててきた江藤厩務員は「前走時はすごく状態が良くて、攻め馬もバリバリできていた。最後はすごい脚を使っていたよね。ジョッキーの手腕もあって一瞬の切れを生かす、あの馬の競馬が完璧にできていた」と満足げに振り返る。

 安田記念の中身のある走り、そしてレース後のカデナの状態を確認したうえで、陣営は急転直下、中2週でのグランプリ参戦を決断したーー。

 かつては京都2歳S弥生賞と重賞を連勝し、世代屈指の素質馬として将来を嘱望されたカデナだが、その後は「馬は2歳時より明らかに良くなっていたはずなのに結果が出ない」(中竹調教師)原因不明の低迷期が長く続いた。5歳の春ごろからようやく復調の兆しを見せ、復活勝利を挙げたのが6歳冬の小倉大賞典。そこからは一進一退の成績が続くが、節目節目でさすがの走りは見せてくれている。

「疲れもなく元気いっぱいだし、あまりにも具合がいいから使うことになったくらいなんだ。ここにきて馬がやる気になっているのを感じる。7歳にしてやっと能力と体がかみ合ってきた感じがするね」と今回の電撃参戦の理由を話す江藤厩務員は「一瞬の切れ味が売りのカデナには直線の短い阪神内回りは一番いい舞台だと思っているんだ。多少馬場が悪くなってもこなせるようにはなっているけど、やはり良馬場でやれるに越したことはない。今週末は天気も何とか持ちそうだから楽しみだよね」と期待を込める。

 過去最高の状態で最高の舞台(第62回宝塚記念=27日、阪神芝内2200メートル)に臨むカデナ。陣営の悲願がかなって初のGIタイトル奪取となれば…。それはとんでもない大波乱劇を意味する。

(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)

東京スポーツ

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す