前走の
メルボルンTを逃げ切って2勝目を挙げた
タイソウ。デビュー前から西園調教師が「これは走る」と期待を寄せていた素質馬が、実りの秋に向けて3歳馬の登竜門・GIII
ラジオNIKKEI賞(7月4日=福島芝1800メートル)に挑む。
「ここを
ステップに秋の
神戸新聞杯へ向かいたい。そういう意味でも大事なレースだと思っている。何とか賞金加算を」
こう話す西園調教師は、
タイソウに厩舎の偉大な先輩2頭の面影を重ねている。
「この馬、
サダムパテックのにおいがするんだ。ゆっくり走っているようで時計が出る。稽古の感じもそうだし、1歳の時の立ち姿もよく似ていたんだよね」
2012年
マイルCS勝ちを筆頭に重賞5勝を挙げた
サダムパテック。デビュー当初から500キロを超える雄大な馬格の持ち主だったが、その体を手に入れるまでの経緯を振り返ってくれた。
「当時1歳のパテックを初めて見た時はキリンみたいな馬だなと思った。背が高くて、幅が薄くてね。でも、翌年の春に見たら別馬のような体になっていた。馬ってこんなに変わるの?って驚いたよ。大きな舞台を勝つ馬っていうのは、あれくらい変わるようじゃないとダメなんだろうね」
若き日の
サダムパテックが見せた驚きの成長カーブ。その曲線をたどるように
パワーアップしてきたのが
タイソウだ。
「これも1歳時はキリンみたいな馬だなと思ったけど、どんどん良くなっていったんだよね。そういうところも踏まえたうえでパテックのにおいがするんだ。現時点で比較するのはかわいそうなのかもしれないけど、先々はあれくらい走る馬になってほしいと願っているよ」
そして、もう一頭。「あの馬の忘れ物を」と西園調教師が思いを重ねるのが、09年
ラジオNIKKEI賞4着→
神戸新聞杯1着→
菊花賞4着など、やはり重賞戦線で活躍した
イコピコだ。
「
ラジオNIKKEI賞はハンデ頭の57キロ。あの時期の3歳馬に、あの斤量は厳しかった。
タイソウも同じローテで行きたいと考えているし、何とかリベンジをと思っているんだ」と12年越しの悲願達成に力が入る。
サダムパテック、
イコピコ…。西園厩舎を発展させてきた功労馬の系譜に
タイソウの名も加わることを願って。馬券を“大層”買いまくろうと考えている次第である。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ