今年の
CBC賞(7月4日、小倉芝1200メートル)は京都競馬場の改修工事に伴った変則日程の影響で小倉で行われるが、例年の中京での開催とは様相がガラリ一変している。オープンの芝1200メートル戦は6月に函館ス
プリントS(13日)、
TVh賞(26日)の2鞍、7月には4日に
CBC賞、18日には
福島テレビオープンがあって、わずか1か月間に4競走も組まれている。
必然的に出走馬がバラけてしまう上に、例年の中京なら出走してくる関東馬が、小倉開催になって長距離輸送(美浦から小倉競馬場まで約18時間)を嫌って出走馬はゼロ。メンバーも手薄で、3歳勢の
ヨカヨカ、
ピクシーナイトが人気の中心になるほど。来年は番組の見直しがありそうだが…。
この状況を読み切って早い段階から、ここに照準を合わせていたのが
アウィルアウェイ陣営だ。春競馬の
オーシャンS(12着)、
高松宮記念(16着)は見せ場すらないレースが続いた。
「年齢的なもので動けなくなっているのかなと感じていたけど、今思うと調教の時計が出ていなかったように、体調がもうひとつでしたね」と高野調教師は敗因を、こう振り返る。
実際、高野厩舎はキャンターで坂路1本を駆け上がった後の2本目に本追い切りを行うことが多いが、前走の
高松宮記念の最終追い切りの時計は一杯に追われて4ハロン54.6-13.0秒。モニター越しに見ていても最後は明らかに止まっていた。
同馬が坂路で一杯に追われてラスト1ハロン13秒台だったのは、2走前の
オーシャンSでの4ハロン54.2-13.0秒と前走の
高松宮記念の2回だけ。これだけ動かなかったのは今春の2戦のみで、コンディション自体に問題があったのは間違いない。
「春先は毛ヅヤがクスんでいたけど、今は
ピカピカですからね。牧場であまりにも体が大きくなりすぎたので早めに帰厩して調整していてプラス体重でも動けると思う。だるまのようだけど体調の良さは感じます」と、トレーナーは今の丸々とした馬体を「だるま」と表現する。
1週前追いは坂路4ハロン54.8-12.1秒で、春2戦とは明らかに異なる動き、筋肉の張りが戻ってきた。
しかも、例年と違って舞台は小倉。「中京はどうも相性が良くない」と語るように、3歳時に挑戦した
CBC賞はドボドボの不良馬場で惨敗、昨年の
高松宮記念は11着大敗、そして今年は体調不良に加えてスタートでつまずいて16着…。中京は鬼門の舞台だけに小倉で行われるのは大歓迎だ。
番組過多で実力馬が分散し、鬼門の中京ではなく小倉での開催。開幕週の馬場とはいえ、頭数も落ち着いて、さばきやすいだけに、まさに今回は“必勝だるま”になって転ばないだろう。
(栗東の火ダルマ野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ