2月の地震で被災した福島競馬場で、今年初めての開催が始まった。スタンドに損傷を受けたため無観客となったが、開催最初の重賞である
ラジオNIKKEI賞のファン
ファーレが鳴った。小雨が降り稍重のコンディションのもと、フルゲートの16頭がスタートした。
10番
ワールドリバイバル、11番
タイソウらが好スタートから先行する。それらを14番の
ノースブリッジがスタンド前でかわし、1、2コーナーへと入って行く。
丸山元気が騎乗する4番人気の
ヴァイスメテオールは中団の内を進んでいる。
「ここ2戦、ゲートを出ていなかったので、ゲートには気をつけていました。スタートしてからはリズムよく行けました」と丸山。
向正面に入っても、単騎先頭は
ノースブリッジ。鞍上が重心を後ろにかけて抑えているが、さらに前へと行きたがっている。
2番手は
タイソウ、その内に
ワールドリバイバルがつづく。
ヴァイスメテオールはその3馬身ほど後ろの内につけている。先頭からは5馬身ほどか。
「ペースは流れるかなと思っていました。最初は行きたがったのですが、いいポジションにつけて、しっかり我慢してくれました」
そう話した丸山が抑え切れないほどの抜群の手応えで進んでいる。
1000m通過は1分0秒7。
3コーナーで馬群がかたまり、逃げる
ノースブリッジと、
ヴァイスメテオールとの差も3馬身ほどに縮まった。
しかし、4コーナーに入り、先行集団がさらにペースアップすると、
ヴァイスメテオールはやや置かれ気味になり、丸山の手の動きが激しくなる。
4コーナー出口で、
ヴァイスメテオールは、前を行く
グランオフィシエと
アイコンテーラーの間を割ってスパートし、直線へ。
ヴァイスメテオールは豪快に脚を伸ばし、ラスト200mを切ったあたりで内の
ノースブリッジを並ぶ間もなくかわす。最後の10完歩ほどは流すようにして、先頭でゴールを駆け抜けた。ハンデが54kgだったとはいえ、2着に2馬身半もの差をつけ、強さを見せつけた。
「イメージどおりに乗れてよかったです。(直線の手応えは)楽でした。新馬戦を勝たせてもらったときも、能力がある馬だと感じていました。大きい馬に特有の緩さなどがあったのですが、久しぶりに乗ると、力をつけていましたし、よくなっていました」
そう振り返った丸山が、ほとんどコースロスなく乗り、力を引き出した。
一方、同厩舎で1番人気に支持された
ボーデンは、スタート後に行き脚がつかず、4コーナーで大外を回らされたことも響いて6着に終わった。それでも最後はよく追い上げていた。次に期待したい。
(文:島田明宏)