2歳世代最初の
JRA重賞となるGIII
函館2歳S(17日=函館芝1200メートル)ウイークに突入した。近年は連続6週間の函館開催の最終週に施行されていたレースだが、今年は東京五輪の影響で前半3週が札幌での開催に変更。
とはいえ、同じ北海道内で、洋芝&小回りと似たコース形態なら「何も影響はないのでは?」と多くのファンが思っているだろうし、記者も特に気にかけてはいなかった。ある騎手の話を聞くまでは…。
「同じ北海道でも札幌と函館ではまったく違いますよ。特に今年の北海道シリーズは函館のようにウッドで調整できない札幌から始まったことで、前半のメンバーが小粒な印象を受けました」
こう口にしたのは例年北海道シリーズを主戦場にしている藤岡佑。一般的には似たコース形態とイメージされやすい札幌と函館だが、騎手の立場からすると、まるで違うのだとか。
さらにはウッドのない札幌スタートでメンバーも小粒化したとの指摘が…。確かに1回札幌開催で計7鞍行われた新馬戦のうち、1番人気が勝ったのは1鞍だけ。これは例年では考えにくいことで、それだけ有力と目されていた人気馬が“大したことなかった”裏付けでもある。
そして藤岡佑が
函館2歳Sで手綱を取るのが、その微妙だった開催のデビュー戦を1分07秒9のスーパーレコードで圧勝した
ポメランチェなのがなかなか興味深い。
1回札幌開催はあまりに時計が速過ぎたために“馬場造園課の職員が青ざめた”との噂が流れるほどだったとはいえ…。前週のGIII函館ス
プリントSとわずか0秒3差、翌日の
しらかばS(古馬3勝クラス)よりは0秒3速かったとなれば、単に馬場コンディションがもたらしただけの時計と言い切れようはずもない。
実際、藤岡佑も「初戦と同じパフォーマンスを出せれば、今回も楽しみだし、能力的には十分に足りる」と。ただし「相手関係はもちろん、競馬場、レースまでの過程も変わるから、同じ
テンションで走れるかが大きなポイントになる」と課題を挙げることも忘れなかった。つまり、初戦と同じように走れれば好勝負になるが、それができるかどうかは、周りが思っているほど簡単ではないということなのだろう。
この中間は藤岡佑が追い日の水曜以外に、金曜の調教にもまたがり、ゲートの確認を熱心に行っている。デビュー時が392キロの小柄な馬。ゲート内でスペースに余裕があり過ぎるため、どうしても動いてしまうのだとか。
もっとも担当の古閑助手は「初戦を無理せずに勝てたことでダメージはなかったですし、間隔もあったので一旦、楽をさせてからしっかりと乗り込むことができました。小柄ではありますけど、カイバはむしろデカい馬よりも食べるくらい。パーツが小さいだけで、全体の
バランスはすごくいいんです。遠慮なく攻めて、いい形で臨めそうです」と臨戦過程には大いに自信を見せている。
チーム一丸となって挑む重賞の舞台で、
ポメランチェは果たして圧巻だった初戦以上のパフォーマンスを見せられるのか、大いに注目だ。
(立川敬太)
東京スポーツ