【東西本紙が振り返る2021年上半期GI・3歳編】2021年上半期GIを振り返って、あなたは何を思う?東西本紙の重責を担う舘林勲、松浪大樹には会心、無念、疑問…さまざまな思いがあるようで。まずは「3歳編」をお届けする――。
舘林勲(東スポ本紙)まずは3歳路線からいこうか。といっても最初に取り上げるべきは個別の馬ではなく、ダービーのフルゲート割れじゃないかと思うんだが。
松浪大樹(大スポ本紙)正直、ショックでしたね。同じ牡馬クラシックでも
皐月賞とダービーでは価値が違う。そう思ってましたし、現在もそう信じてますから。
舘林 距離適性を優先する時代になったのかもしれないが、俺も寂しい思いがしたな。ダービーだけは常に出走権を争うレースであってほしい。そう思っているよ。
松浪 僕がオーナーなら、ダート馬でも1勝馬でも登録しますけどね。で、枠ができたら問答無用で出走させる。
舘林 残念だが、現代競馬でお前の考えは完全に少数意見(笑い)。テレビ馬も二度と出現しないかもな。
松浪 ダービーの最終登録を見て「1勝馬でも出れたの?」なんて言っていた関係者もいたんですけどね。でも、肝心の馬がすでに在厩していない。早い段階でダービーをあきらめて、放牧に出てしまってるんですよ。
舘林 出走できるかどうかわからない1勝馬なら、早めに2歳馬を入厩させる。それが一般的な戦略だもんな。
松浪
トライアルレースの時期も悪い。間隔をたっぷりと空ける時代に、中2週でダービーに向かうレースが2つ(
プリンシパルS、
京都新聞杯)もあるなんてナンセンスですよね。
舘林 本番との間隔がある
毎日杯組が今年は躍動(
シャフリヤール1着、
グレートマジシャン4着)したわけだし、上位人気も集めていたようにファンもそちらの戦略を支持している。確かに考えてほしいところだな。
松浪 あとは牝馬の
サトノレイナスのダービー参戦ですか。同じ東京の2400メートルが舞台で賞金は倍、価値は10倍のダービー出走は当然の選択――と以前から思っていたので、ようやく時代が追いついてきたのかな、と(笑い)。
舘林 相変わらず振り切ったことを口にするヤツだな…と言いたいところだが、牝馬が牡馬を相手に互角以上のパフォーマンスをする時代だもんな。俺も近い将来、
桜花賞→ダービーの変則2冠馬が誕生しそうな気がしている。
松浪 5着に敗れた
サトノレイナスに◎を進呈した先輩のダービー総評を聞かせてください。言いたいこともあるでしょうし。
舘林 なぜ、ルメールがあんな形の競馬をしたのか?これこそが古馬も含めた今年の上半期GIで最も納得がいかないことだな。
松浪
レイデオロのダービーを思い起こさせるような競馬でしたが、あの一戦とは道中のペースが違った。ちょっと強引な感じはしましたね。
舘林 春の東京開催は上がりこそ速かったけど、前に行っていることが決して有利にはならない馬場状況。なのに、どうして早めに動かなくてはいけない?本当にわからない。
松浪 ポジションを取りにくい外枠だった…では理由になりませんか?なりませんね。
舘林 マイル戦までの出走経験しかない馬を◎にすることのほうがおかしいと言われるかもしれない。しかし、あの競馬では自分の判断…つまりは距離の問題とか、牡馬との力関係とかだけど、その
ジャッジが間違っていたのかの確認もできなかった。本音を言えば、やり直してほしいと思っているくらいだよ。
松浪 まあまあ。上位馬の話もしておきましょう。関西馬なら
シャフリヤールの一択という状況で、関東馬の
エフフォーリアの評価を下げる理由も特に見つからなかった僕からすれば、極めて順当な結果でした。真の力量は着順と逆だと思ってますけどね。
舘林 ○→◎→△の予想だったっけ?勝てば官軍の世界だし、とりあえずは反論しないでおこう(苦笑)。世代レベルに関してはどう思う?
松浪 それを判断するのは時期尚早。速い時計を信頼する時代は過ぎ去りましたし、軽さを求められない馬場で
シャフリヤールがどこまで走れるかは未知数です。
舘林 すごみまでは感じなかったけど、少ないキャリアで2分22秒5走破を果たした上位2頭は一定以上の評価をしていいんじゃないかと俺は思っているけどな。特に
エフフォーリア。鞍上も落ち着いて運べていたし、今後も注目の人馬だ。
松浪 一方の牝馬戦線は白毛の
ソダシ一色でした。僕は
桜花賞、
オークスともに◎は
ソダシでしたが、距離が持たないと思いながらもメンバー構成を見て、安易な結論をしてしまった
オークス(8着)に関しては素直に反省しています。別の馬を探すべきでした。
舘林
桜花賞までのレベルが高過ぎて、2000メートル以上の距離対応に苦しむ馬が多かった印象を受けた
オークスだったな。かく言う俺も予想は失敗したんだけど。
松浪 ◎は
ステラリア(13着)でしたっけ?
舘林 阪神JF(3着)当時の姿に戻れば、
ユーバーレーベンを◎にするつもりだったんだが、状態が戻っていないと判断して評価を下げてしまった。今でも状態は戻せていなかったと思っているけど、それでも勝たれてしまうんだから…。
松浪 あれが適性なんでしょうね。
舘林 今年の牝馬路線は1800メートルを境に勢力図が大きく変わってしまう。
ソダシは
札幌記念を使うようだが、2000メートルは難しいかもな。
松浪
クロフネ産駒が心肺能力で押し切れる距離は1800メートルまで。それが今年の
オークスで決定的なものになってしまいました。対
ラヴズオンリーユーでは分が悪いと僕も思います。
舘林 競馬界に必要な
アイドルホース。頑張ってほしい気持ちはあるけどな。
東京スポーツ