変則北海道シリーズの函館開催がいよいよラストウイークに突入した。札幌開催から始まった今年の北海道シリーズは、ウッドのない札幌競馬場での調整を嫌ってか、「メンバーの質がさほど高くないのでは?」という疑問を以前に提示したが、それは中距離の新馬戦においても、うっすらと影を落とした印象を受ける。昨夏は同じカテゴリーでデビューした馬に
エフフォーリアや
ソダシといった後のクラシックホースがいたわけだが、果たして今年はどうか?
先週までに施行された函館芝1800、2000メートルの新馬戦5鞍のうち、1番人気の支持に応えて勝利を飾ったのは6日目(芝1800メートル)の
リューベックのみ。有力と目された人気馬が軒並み期待に応えられていない。ならば今回は北海道シリーズの枠組みにとらわれず、別の開催場所で結果を出した馬を「物差し」に採用してみた。
加藤征厩舎は土曜(7日)芝1200メートルに
ヴィアドロローサ(牡=
母ロイヤルストリート)、日曜(8日)芝1800メートルには
エコログロリアス(牡=
母アカンサス)が出走予定。600メートルも距離が異なる舞台設定ながら、父はいずれも
ロードカナロア、そして鞍上はどちらも吉田隼を予定しているのだが…。最も強調すべきはこの2頭が函館に入厩する前、美浦で先月25日の新潟芝外1800メートル新馬戦を制した同厩
レディバランタイン(牝)とともに調教を積んでいた経緯があり、陣営の評価は同様に高かったこと。ならば信頼に足るという計算は立つ。
ヴィアドロローサは「将来的にも短距離が活躍の場になると思って1200メートルに。ゲート練習はかなり積んで、スタートもまずまず出てくれます。
ロードカナロアと(母父の)
ディープインパクトを足して2で割ったようなタイプ。コンパクトな馬体ですけど、ディープらしい柔らかさがありますし、素質は高そう」と菅原助手。
一方、
エコログロリアスは「同じ父でもタイプは全然、違います。跳びが大きくてゆったりと走るので、1200〜1400メートルでは忙しい。跳びがきれいな馬は逆に
トップギアがなかったりするんですが、追い切りに乗った人はみんな“(
トップギアを)兼ね備えている”と口を揃えます。調教ではビシッと追わなくても動けてしまう。乗り込み量は豊富ですし、こちらも光るものがありますね」とやはり評価は高い。
その先に大舞台が見えてくるような強烈な勝ちっぷりになかなかお目にかかれない今夏の北海道シリーズに、一石を投じる走りができるのか。今週末は加藤征厩舎の
ロードカナロア産駒2頭に注目したい。
(立川敬太)
東京スポーツ