オリンピック終了と同時に新潟、函館の変則2場開催も終了。自ブロック制がなかった新潟開催は関東馬25勝に対して、関西馬48勝と
ダブルスコアに近い差をつけられた。一方で平地重賞に関しては2レース(
アイビスSD、
レパードS)とも関東馬が勝利したように上級条件ではその奮闘が目立った。
そんな中、
小倉記念(15日、小倉芝2000メートル)でただ一頭、美浦から勇躍参戦するのが
ヒュミドール。デビュー2戦目からはダートを使われていたが、小手川厩舎に転厩後、芝に矛先を向けるとわずか3戦で2勝を挙げ、一気にオープン入りを果たした。そんな中でも記憶に残るのが、昨夏の
日本海S。抜群の手応えで直線を迎えたものの、前がふさがり6着に終わったが、小手川調教師は「あのレースで、この馬の能力の高さを確認できた」と高評価。その言葉を信じて、次走の
ノベンバーSでは12番人気ながら単勝で勝負。珍しく大勝した快感が忘れられない。
その後は
天皇賞・春を大目標に長距離路線を歩んだが、あとひと押しが利かないレースが続き、賞金加算はならず。再び中距離路線に戻った2走前の
新潟大賞典で11着と思わぬ大敗を喫したものの、横田助手は「いつもはレース前日に輸送するが、金曜に輸送したことで土曜にレースがあると思った馬が、なかったことで落ち着いてしまった。それが翌日、レースへ連れられたことで、
テンションがかなり上がってしまった。馬にとっては予想外だったんだと思う」と敗因をしっかり分析。
長距離輸送のない次走の
エプソムCでは直線で馬場の悪い内めを通らされながら0秒5差6着と善戦。改めて能力の高さを示したが、夏はローカル開催で輸送がつきまとう。そこで陣営は滞在が可能な小倉を選択した。小手川調教師は「小倉はダートコースの追い切りが主体ですが、重賞出走馬は本馬場(芝)で追い切ることもできる。小桧山厩舎時代に助手として、小倉滞在は何度も経験しているし、そのノウハウも生かせれば」と語ってくれた。続けて「前走後、幸騎手に打診したところ、すぐに了承してくれたのも大きいですね。経験豊富なジョッキーで、また違った面を引き出してくれれば」と初コンビながら、小倉を熟知したベテランジョッキーの手腕にも期待を寄せる。
先週金曜に美浦から小倉競馬場に輸送した後も順調で、帯同している横田助手は「美浦より少し涼しいのもあって、馬に覇気が出てきた」と上昇ぶりをアピール。強力関西馬相手、さらに初モノ尽くしではあるが、小倉を熟知した人たちに導かれ、新境地を見せてくれることを期待せずにはいられない。
(美浦の追跡野郎・松井中央)
東京スポーツ