「
地方競馬記者コラム 仕事 賭け事 独り言」
前回当欄を担当したのが年度変わり直後となる4月の1週目だった。そこで、「デビューするルーキージョッキーがすぐに旋風を起こすかも」と記したのだが、それから4カ月を過ぎて、それが現実、いや、それ以上にセンセーショナルといった表現がピッタリの大活躍を見せている。
兵庫初の女性騎手・
佐々木世麗(ささき せれい)(18)=園田・新子雅=、
大山龍太郎(おおやま りゅうたろう)(17)=西脇・坂本和=の2人は特に顕著。今節(18日〜20日)も不良馬場が続く悪条件の中、2日目を大山龍騎手、3日目を佐々木騎手がメインレースで勝利し、2日目は同じくルーキー・
長尾翼玖(ながお たすく)(19)=西脇・橋本明=も勝ち星を挙げ、初の3人そろって勝ち名乗りを上げた。
20日終了時点で佐々木騎手が41勝、大山龍騎手は途中騎乗停止期間があったものの26勝。4キロ、3キロの減量の恩恵はあるが、それでもこの勝利数は初騎乗から4カ月が立った時点では驚異の数字。努力のたまものであるのはもちろんだが、その理由の一端ではと思わされたシーンが6日、メインレース「デイリースポーツオンライン特別」レース終了後の検量室前で見られた。
レースを勝利したのは大山龍騎手。兄弟子の竹村達騎手で連勝していた自厩舎の
パリスデージーを好位追走から直線外へ出して差し切り、見事にバトンを受けて3連勝へ導いた。引き上げて、後検量を終えた直後から師匠の坂本和師と入念なモニターチェックが始まったが、勝利した陣営のものとは感じられない厳しい雰囲気が伝わってきた。
また、少し離れた傍らでは1番人気
シークレットローザで3着だった佐々木騎手と師匠の新子雅師が同様に入念にレースぶりを振り返っていた。こちらも同様の雰囲気が伝わってきた。当然、どの騎手もレース後の
パトロールチェックは欠かさないが、多くのレース後で師の愛情こもる指導の下でのチェックは財産となっているのは間違いない。
勝利数の積み重ねも安定した騎乗数があればこそ。当初から自厩舎を始め、多くの
バックアップがあるなと感じた3人だが、その後さらに多くの陣営から声もかかってきているようで安定して騎乗数が多いのも感心させられる点。佐々木騎手も30勝を挙げた直後での取材で「騎乗馬が重なることも増えてきたので…」と乗れなかった馬に対して申し訳なさそうな言葉も聞かれた。
兵庫競馬の新人最多勝利数は
石堂響騎手が記録した44勝だが、佐々木騎手は今週にも到達する勢い。15勝の長尾騎手も12月末までにかなりの勝利数を伸ばしそうで今後も3人の躍動に注目したい。そして、何より減量を生かした3人の積極的な騎乗が、直線でスリリングなシーンを作り出してくれるレースが多くなった印象。
毎日通い詰める1ファンとしては一層園田競馬が面白くなったと感じている。(園田競馬担当・工藤 修)
提供:デイリースポーツ