ゲートが開くと、3番
ショウナンバルディが押し出されるようにハナに立ち、11番
ラインベック、7番
マイネルサーパス、8番
ギベオンらがつづいた。1番人気の
ザダルは中団馬群のなか。直後の外に3番人気の
トーセンスーリヤ、3馬身ほど後ろに2番人気の
クラヴェルと、人気どころは中団より後ろに集まっている。
テン乗りの
ミルコ・デムーロが騎乗する12番人気の
マイネルファンロンは、
クラヴェルからさらに3馬身ほど後ろの外目で脚を溜めている。「スタートでちょっと躓いて、後ろからになりました。ほかの馬から離れていて、リズムがとてもよかった」とデムーロ。
先頭から最後方まで10馬身ほどと、馬群は比較的かたまった状態で3コーナーへと入って行く。1000m通過は1分ちょうど。この数字と、馬群のかたまり方を見るとスローかと思われた。
ショウナンバルディが先頭のまま4コーナーを回り、直線へ。ラスト600m付近から各馬が動き出し、17頭は内から外まで大きく横にひろがった。ラスト400m付近でも、まだ内から4、5頭目の
ショウナンバルディが先頭をキープしている。大きく離れた外から、
トーセンスーリヤがジワジワと伸びてくる。それをかわすべく、直後にいた
クラヴェルが、やや内に進路を切り替えた。
クラヴェルの外にいた
マイネルファンロンは、さらに外に持ち出されてスパートをかけた。ステッキを素早く左右に持ち替えるデムーロの叱咤に応えて外埒沿いを走り、2着の
トーセンスーリヤより半馬身前に出たところがゴールだった。
「直線はいいところに連れてきて(誘導できて)、最後までずっと頑張っていた」そう振り返ったデムーロが、腹を括った騎乗で千直のゴール前のような形に持ち込み、見事に勝ち切った。
3年前の
スプリングステークスでは3着、2年前の
函館記念では2着と、重賞まであと一歩のところまで来ていた
マイネルファンロンにとって、これが嬉しい重賞初制覇であった。
3着は
クラヴェル、4着は
ヤシャマルと、道中は中団から後方に控えた馬が上位に来た。5着の
ラインベック以外の先行馬が軒並み沈んだところを見ると、数字以上にタフな流れで、特に、馬場の内目を進んだ馬にとってはキツい競馬だったのかもしれない。
(文:島田明宏)