スマートフォン版へ

【京成杯AH】アカノニジュウイチの“正体”尾関調教師と横山典の見解一致「本質的にはスプリンターではない」/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2021年09月08日(水) 19時01分
 スピード型のトロワゼトワルが連覇した流れに従えば、今年のGIII京成杯AH(12日=中山芝外1600メートル)は絶対的な速力を誇る3歳馬グレナディアガーズの先行押し切りが最有力となるのだが…。当方がこのレースに抱くイメージは実は真逆だ。

 2015年フラアンジェリコ→16年ロードクエスト→17年グランシルク→18年ミッキーグローリーと、いずれも中団以降からの差し、追い込み馬が勝利。特に担当厩舎のフラアンジェリコの直線ブッコ抜きの映像は鮮烈で、「京成杯AH=差し競馬」の印象がむしろ強い。

 さらに近年は「エアレーション」(芝の生育やクッション性を高めるための馬場管理作業)という言葉が一般的になり、その影響で「開幕週=前残り」という単純な図式にはならなくなった。秋の中山開催はエアレーションによる「差し有利傾向」が話題に上ることが多く、これもまた差せるイメージを確実に増幅させている。

 というわけで、今年の京成杯AH(12日=中山芝外1600メートル)でどんな豪脚を披露してくれるのか、大いに注目しているのがアカノニジュウイチだ。目下5戦連続で最速上がりをマークしているように、その決め手はオープンでも十分に通用する。一方で今回の最大の肝は「マイルへの対応」となるだろう。普段の追い切りでも向正面ではかかり気味で、鞍上が必死に抑え込むことが定番に。そんな気性面を考慮してここ3戦は1200メートルに距離を短縮、3→1→1着と結果を残してきた馬だからだ。

「前走(テレビユー福島賞)は小回り福島の内枠(2枠3番)。後手に回ったら簡単ではないだろうなと思っていたら、実際に後手に回って…。それでも勝ち切ってくれたのだから、クラスの壁を感じさせない、強い競馬だった」

 尾関調教師が「あの内容ならオープンでも」と手応えをつかむのも当然。電撃戦で新境地を開き、スプリント重賞へ挑戦する青写真が出来上がったように思えたのだが…。トレーナーは距離を延ばし、マイル路線にかじを切ることをあえて選択した。それは「本質的にはスプリンターではない。騎乗したジョッキー(横山典)も同じ感触なんだよね」との見立てに基づくものだ。

 振り返れば、クイーンC(東京芝1600メートル)4着時にマジックキャッスル(2着)と、スイートピーS(東京芝1800メートル)3着時にはデゼルと接戦。その走りは確かにスプリンターが残せる実績ではあるまい。そう、調教や近走で見せている走りは短距離向きの印象でも、陣営の感触やかつて見せていた走りはそれとは逆のものなのだ。

 4歳夏を終えた時点で9戦とキャリアも浅く、アカノニジュウイチの“正体”をまだつかみかねているのが正直なところ。久々のマイル戦で名手・横山典の手綱さばきを味方に、どんな走りを見せてくれるのか、まさに見逃せない一戦となりそうだ。

(美浦の両刀野郎・山口心平)

東京スポーツ

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す