ゲートが開くと、
アカノニジュウイチが大きく出遅れた。躓いた
バスラットレオンも、アオるようなスタートになった
マルターズディオサも、後方からの競馬になった。
バスラットレオンと
マルターズディオサは先行する可能性もあると見られていただけに、これら2頭の出遅れも、勝敗の分岐点のひとつになったと言えよう。
大野拓弥が乗る9番の
コントラチェックがハナに立った。
スマイルカナ、
マイスタイル、
グランデマーレ、
ステルヴィオ、
スマートリアンらがつづく。
1番人気の1番
グレナディアガーズは中団。テン乗りの
戸崎圭太が手綱をとった7番人気の2番
カテドラルはそのすぐ後ろの内にいる。
「乗りやすい馬だと聞いていました。スタートは出負けしてしまったんですけど、そのあとはリズムを守って行こうと思いました。内枠でもありましたので、本命馬(
グレナディアガーズ)を見ながら行くことができました」と戸崎。
先頭から最後方まで13、4馬身の縦長になった。前半800m通過は45秒6。
コントラチェックが持ったままの手応えで単騎先頭をキープし、3、4コーナーを回る。
直線入口で、先頭の
コントラチェックは2番手集団を2馬身以上離していた。ラスト200m地点で、その差は3馬身ほどにひろがった。
2番手集団から
ステルヴィオ、
スマートリアンらが抜け出しをはかるが、なかなか
コントラチェックとの差は詰まらない。
コントラチェックの逃げ切りかと思われたところで、内から少しずつ外に出して馬群をさばいた
カテドラルが猛然と伸びてきた。
大外から
グレナディアガーズも凄まじい脚で追い上げてくるが、
カテドラルの勢いが上回っていた。
カテドラルが2着
コントラチェックをクビ差で差し切り、重賞初制覇を果たした。3着は
グレナディアガーズ。以下、
スマートリアン、
カラテとつづいた。
戸崎はこう振り返る。「今週の中山は内で前残りが多かったので、後ろから行ってどうかと思いましたが、いいレースができました。今日は内枠だったので、外を回さず、内をさばいて行こうと考えていました。直線で進路を探すのがちょっと大変でしたが、まだ手応えがありましたので、上手くさばいてくれました」
直線入口では
ステルヴィオの真後ろにいた。その外に併せた
スマートリアンも一緒に伸びたので、
カテドラルの進路ができた。そのとき外を塞ぐかにも見えた
カラテの
菅原明良は、外の
グレナディアガーズに併せに行くためか、右鞭を入れて内に寄ってこなかったこともプラスに作用した。
運も味方につけた戸崎が、見事な「決め打ち」で結果を出した。
一方、3、4コーナー中間地点で
カテドラルの外に併せていた
グレナディアガーズは、人気馬だからやむなしと言えるのだが、そこから安全な外を回した。そのぶん届かなかったのかもしれないが、力は見せた。
(文:島田明宏)