以前は秋の中山開幕週といえば、超高速馬場で内枠・先行馬が圧倒的に有利だったが、近年はエアレーション(路盤に穴をあけ馬場に通気性、柔軟性を持たせる)効果で必ずしも高速決着とはならない。それに伴い、差し馬台頭の目立つ年も少なくないが、今年の開幕週に関しては、土日12鞍の連対馬24頭中、半分の12頭が4角2番手以内。日曜メインの
京成杯AHでもハナを奪った
コントラチェックが12番人気の低評価を覆し2着激走…逃げ、先行馬、もしくは内をロスなく回った馬の活躍が目立った。
その傾向を踏まえれば、
セントライト記念(20日、中山芝外2200メートル)も主導権を握りそうな
ノースブリッジに注目したくなる。
奥村武厩舎に早速足を運ぶと、中尾助手は「先週のレースを見ると、2週目なら、まだ前有利の傾向は続きそう。馬場を味方にできそうですよね」。さらに「春からずっと厩舎に滞在していますが、攻め馬でもしっかり動けているし、いい意味で平行線をキープできています」と状態面に関しても歯切れがいい。
まだ3歳の若駒がトレセンにずっといれば、気持ちの面がピリピリしてきて、徐々にストレスもたまってしまいそう。夏場は放牧でリフレッシュした方がいいと思ってしまうが「今年の夏はとても暑かったからね。それを考えると、厩舎の馬房の中は常にエアコンが効いていて、涼しいですからね。快適なんだと思います」
先週の当欄でも触れたが、今年は放牧先でも猛暑の影響で、しっかり充電できなかった馬もいる。暑さのストレスをそれほど感じずに過ごせたことが、本馬にとってはプラスになったようだ。
それを裏付けるようにウッドで行われた1週前追い切りでは
ローズS出走の僚馬
クールキャットを3馬身先行する形でスタートし、直線追われるとしっかり反応し5馬身先着。上々の動きを披露した。
平行線どころか、
パワーアップを感じさせる内容に、「気持ちの面でもいい意味でピリピリしてきました」と中尾助手も手応えを感じている。初の2200メートルに関しても「二の脚が速いので、楽にいいポジションは取れます。自分のリズムで運べれば、無理にハナにこだわらなくても大丈夫ですし、距離は問題ないと思います。ジョッキー(岩田康)とも相性がいいですからね」と不安は感じられない。
ラジオNIKKEI賞(3着)では惜しくも賞金加算とはならなかったが、放牧ではなく、トレセン滞在で夏を過ごして力をつけた
ノースブリッジが、大舞台の足掛かりへ今度こそ賞金加算をしてくれるに違いない。
(美浦の避暑大好き野郎・松井中央)
東京スポーツ