逃げ・先行馬が揃った浦和の1400m戦は、やはりスタートダッシュと先行争いがポイントになった。
絶好の1番枠に入った
ラプタスはハナを主張するかと思ったが、飛び上がるようなスタートでタイミングが合わず、無理に行こうとはしなかった。すると
ベストマッチョ、
ティーズダンクに前に入られまわりを囲まれてしまい、何度も頭を上げて折り合いがつかなくなってしまった。向正面でなんとか外に持ち出して追い上げにかかったが、それまでのロスが大きく、結果10着。浦和1400mの内枠に入った逃げ馬は、逃げられれば絶好だが、そうでないと難しい。
一方、
アランバローズは10番枠に入ったが、
ラプタスが行けなかったことですんなりとハナに立った。それにしても単騎で行って前半3F=34秒9は速い。その行きっぷりを見ると、2000mの
東京ダービーでよく折り合いをつけたものと思う。やはり本質的には短距離馬なのだろう。何が何でもという
左海誠二騎手の気合を感じて馬が余計に行く気になってしまったのかもしれない。
その
アランバローズの単騎逃げに乗じて絶好位がとれたのが、大外の
テイエムサウスダンだった。ほかにも
ベストマッチョや
グランドボヌールなど前に行く馬もいたが、
アランバローズの行きっぷりを見れば控えざるをえない。向正面では前2頭が3番手以下を離す展開になった。
3コーナーで
テイエムサウスダンに早めに並びかけられた
アランバローズはさすがに余裕がなく、先頭に立った
テイエムサウスダンがそのまま押し切った。
アランバローズがハイペースで逃げたため、
テイエムサウスダンの勝ちタイム1分24秒6は、コースレコードにはコンマ8秒及ばなかったものの、このレースで1分24秒台が出たのは初めて。しかも良馬場でのタイムだ。
前走
かきつばた記念では
ラプタスに3馬身差で敗れていた
テイエムサウスダンだったが、
アランバローズのハイペースの流れにうまく乗ったこともあり、よほど調子もよかったのだろう。まだ若い4歳で充実期ということもある。これで地方のコーナー4つを回る1400m戦は4戦3勝、2着1回。
サウスヴィグラス産駒は、ひとつ下の現3歳が最後の世代になるが、
テイエムサウスダンは
サウスヴィグラスにとって地方の舞台で晩年の大物になるかもしれない。
2〜6着には地元南関東勢。今回、勝ち馬以外の中央勢が能力を発揮できなかったこともあるが、
JBCスプリントでは一昨年、昨年と南関東勢が連勝しているように、いま南関東の短距離路線は層が厚い。
離れた3番手の一角だった
ティーズダンクは、3コーナーから徐々に4番手以下を離していき、
テイエムサウスダンに2馬身まで差を詰めた。レースの上りが37秒4のところ、前半脚を溜めての上り36秒8はすばらしい。この馬も4歳で、
マイルグランプリを勝ち、前走スパーキング
サマーCでは
サルサディオーネに半馬身差まで迫ったレースぶりなどからも、ここに来ての充実ぶりがうかがえる。
アランバローズはさすがに最後は脚が上がって3着。中団追走から後半に脚を残していた
アンティノウスの追い上げをなんとかハナ差でしのいだ。浦和コースは今回初めてだったが、大井や、たとえば盛岡など広いコースのほうが合うのではないか。
サクセスエナジーは59kgという斤量もあっただろうが、後方から追走に一杯。地方のコーナー4つの1400m戦は道中で息の入る流れになることが多いが、今回のようないかにも短距離戦という息の入らない速い流れは合わないのかもしれない。