1920年に創設され、今年で100回目(1939年、1940年は開催なし)を迎える
凱旋門賞。この
メモリアルな世界最高峰のレースに世界各国から15頭が集結する。
パリロンシャン競馬場改修後の2018年から過去3年のレースを紐解いてみると、好走馬には3つの共通点が見えてくる。まずは、凱旋門出走経験があること。2018年
エネイブル、2019年
ヴァルトガイスト、2020年
ソットサスはいずれも勝った前年の
凱旋門賞に出走している。
2つ目が
ガリレオの血脈。
エネイブルは父父に、
ヴァルトガイストは父に、
ソットサスは母父に
ガリレオの血が入っている。最後に仏ダービー(G1)好走馬。昨年優勝の
ソットサスは1着、2年前の覇者
ヴァルトガイストも2着。
凱旋門賞と舞台は違えど、関連性を無視できない。この3点に着目すると有力馬が浮かび上がってくる。
◎ラービアーは昨年、タルナワから3馬身離れた2着のヴェルメイユ賞(G1)を
ステップに、不良馬場の
凱旋門賞で5着に健闘した。
ガリレオの弟
シーザスターズ産駒は2018年の2、3着に好走。同じ父を持つ4歳牝馬ラービアーも、血統的に適性がありそうだ。
〇
シリウェイは仏ダービー(G1)で、勝った
セントマークスバシリカから1.3/4馬身差の2着。引退が決まった
セントマークスバシリカだが仏ダービー後にG1を連勝しているだけに、父父に大種牡馬
ガリレオを持つ3歳牡馬が十分な力を秘めているのは間違いない。
▲タルナワは今年の始動戦だったバリーローンS(G3)を重馬場の中6馬身差で圧勝すると、続く前走の
愛チャンピオンS(G1)では60キロの斤量を背負いながらも、58.5キロの仏ダービー馬
セントマークスバシリカから3/4馬身差の2着。連勝が5でストップしたが、叩き3走目の
凱旋門賞が走り頃か。
△
ハリケーンレーンは中団から差し切った愛ダービー(G1)から一転、先行策のパリ大賞(G1)も勝利して自在性がある脚質を披露。本番前にパリロンシャン競馬場を経験できたことも大きい。ただ、英セントレジャー(G1)と
凱旋門賞連勝をした馬がいないだけに、やや割引か。
20年ぶり史上14頭目となる英ダービーと
キングジョージIV世&
クイーンエリザベスS(G1)を制した
アダイヤーと
ディープインパクト産駒のスノーフォールは本番でも人気が予想されるが、ここは思い切って消し。前者は、後肢の感染症のためニエル賞を回避し、事前にパリロンシャン競馬場を経験できなかったことがその理由だ。後者は、5月の始動戦からほぼ1か月ペースで走り、
凱旋門賞が今年6戦目。3歳牝馬のタンクにエネルギーがまだ残っているのか懸念されるため無印にする。
日本からは
ディープボンドと
クロノジェネシスが参戦する。
注
ディープボンドは、
凱旋門賞と同舞台の前走フォワ賞(G2)では好スタートから逃げ切り、ブルームやスカレティといったG1馬をねじ伏せ存在感を見せつけた。勝ちタイム2分31秒82は平凡も、同日同舞台で行われたヴェルメイユ賞(G1)よりコンマ17秒早かった。2走前の
阪神大賞典では重馬場を苦にせず2着に5馬身差をつける圧勝劇を見せただけに、渋った馬場にも適正はありそうだ。フォワ賞のような積極策で好位につけて最後の直線でも粘りを見せられれば、祖
父ディープインパクトと父
キズナの成績を上回るかもしれない。
クロノジェネシスは前々走の
ドバイシーマクラシック(G1)で、勝った
ミシュリフからクビ差の2着に健闘。前走の
宝塚記念では、
ゴールドシップ以来史上2頭目となる春の
グランプリ連覇を達成した。その実力に加え、2004年
凱旋門賞馬の
バゴを父に持つ5歳牝馬は血統的にも申し分ない。しかし、前哨戦でヨーロッパのレースを挟まずに本番で好走した日本馬は皆無なので、ここでは印を外す。
(文=一野洋)