今週は秋のGI戦線の第一弾・2021
スプリンターズSが行われます。
グランアレグリアのような絶対的な存在がおらず、馬券的に興味をそそられる一戦となりそうです。このレースについて、中間の立ち写真や前走パドックを見た上で、有力馬について馬体的見地から考察していきたいと思います。
アウィルアウェイ 休み明けの
CBC賞を使われた前走時は、筋肉の張りこそ増してきたもののまだ仕上げは緩かったのですが、今回は筋肉の張りが見違えるようにアップして、緩さを感じさせた前走時とは違ってグンと力強さを増してきました。
手先にも力が入っていて姿勢も良くなった印象です。牝馬にしては筋肉量が多くふっくらした馬体。飛節もバネ感が良く中山コースに替わるのも歓迎。3着だった昨年よりも雰囲気は良いくらいです。
ジャンダルム 前走時で十分素晴らしいデキでしたし、馬を見た感じでは抜けているとすら思いました。馬体には芯が入って、筋肉の強度も
ピークと言って良いもの。正に本格化を感じさせましたが、レースでは出遅れてしまい、良い脚を使ったものの4着止まり。もったいない競馬でした。元々短距離で先行していた馬ですが、2走連続で出遅れているのは気になります。
その2走は3走前に勝った
春雷S時よりも飛節の折りやツナギの沈み方が若干深く見えました。今回は立ち方もあると思いますが、ツナギから飛節にかけては力強さが増したように見えます。筋肉の強度も増して無駄肉も減っているので、前に行けるとは言いませんが中団くらいでは流れに乗れそう。コース適性は高く、チャンスは十分ありそうです。
ダノンスマッシュ 高松宮記念を勝った時も休み明けでしたが、今回は更に仕上がりが良く見えます。あばらがしっかりと見えている割に肩周りやトモの筋肉は引き締まって張りが良いです。力は出せますし、能力的にも格上と言って良いでしょう。
ただ、肩が寝ていて長躯短背、ツナギなどの角度も深くしっかりとス
トライドが伸びる造りなので、踏み直すような競馬は向いていません。ゴチャつきやすく急坂のある中山は、本質的にはあまり合わないと思います。ただ、能力的には抜けていてスムーズなら押し切れるので、外目の枠なら中心視して良いでしょう。
ピクシーナイト グングン状態が上がっていて、筋肉の張りも素晴らしい。
モーリス産駒全体から考えると相当良い部類に入りますが、飛節の力強さがトモの割には足りないので、その辺りも解消してくれば完成と言えるでしょう。直線急坂の中山コースよりは平坦や坂を上ってからの距離が長いコースの方が合うタイプ。斤量差で食い込みはありますが、違うシーンで狙いたいところです。
ファストフォース グングン馬が良くなっています。なかなかこれだけトモの量がある芝馬はいません。母が
サクラバクシンオー産駒で筋肉量豊富だった
ラッシュライフ、父
ロードカナロアという血統からこうなるのも納得できます。
四肢が柔らかく、筋肉の質も柔軟。3走前と比べると正に「馬が変わった」と言えるほどの成長ぶりです。馬格と
パワーがあって中山の坂も問題ありませんし、いきなりの相手強化でも期待したくなります。いつも人気がない馬なので、その点からも狙い目でしょう。
メイケイエール 前走時の写真を見ると肉付きが寂しく正直要らないと思いましたし結果も駄目でしたが、一度使われて馬体はグンと良くなりました。トモの肉が戻りつつありますし、緩かった体も締まってきました。背中のラインも力強くなって、体幹も強くなっています。イチオシとまではいかないですが、斤量差もあるので前走のようなことはないと思います。
モズスーパーフレア スッキリ見せて好仕上がり。6歳牝馬ですが、衰えはそれほど感じません。トモの肉も引き締まっていますし、ここもハナを切って行けそうです。昨年はパドックでゴトゴトして肩が出ていませんでした。その辺りは当日も要チェックです。肩がスムーズに出ていて、前が残る馬場なら一考すべきでしょう。
レシステンシア 前回のパドックではトモの上部に筋肉はしっかりと付いていましたが、大腿から下腿にかけての実の入りが甘かった印象。ただ、歩きのリズムは良く、更にスピードが出る造りに変化してきた印象です。
今回は甘かった部分が解消され実が入っていますし、軽さが際立っています。道悪もこなしていますが、今回の造りなら良馬場が良いですし、パドックでリズム良くテンポの速い歩きができていればここも勝ち負けでしょう。
【総括】
能力では春と同じで
ダノンスマッシュと
レシステンシアで決まりそうですが、これらは人気を集めるので本文中で挙げた条件が揃った時に買いたいところ。馬券としては現状では
ファストフォースや
アウィルアウェイ辺りに食指が動きます。結論は当日のパドックをチェックした上でお送りする「
ウマい馬券」の直前予想(レース発走15分前くらい)で。
(文=古澤秀和)