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【サウジアラビアRC】珍名だからと侮るな! 陣営もつかみきれていないウナギノボリの“意外性”/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2021年10月06日(水) 18時01分
 小田切有一氏の所有馬は、どれも耳に残る馬が多い。時には「珍名」というワードでひとくくりにされてしまうこともあるが、オークスを勝ったノアノハコブネ高松宮記念を制したオレハマッテルゼ、重賞2勝のエガオヲミセテなど、ビッグレースを勝った馬は洒落たネーミングが多かったりする。きさらぎ賞を勝ったヒコーキグモにしても昨年の3冠馬コントレイルと同じ意味と考えれば、う〜む洒落ている。ちなみに個人的なナンバーワンはロバノパンヤ。きっちりオープンまで出世したのだから、水ダウ的に言えば「説立証」である。実はこの洒落たネーミングと感じられるかが大舞台で活躍できるかの分岐点なのかも。

 で、お題となるのがGIIIサウジアラビアRC(9日=東京芝1600メートル)にエントリーしているウナギノボリだ。現段階では「珍名」のくくりに入ってしまいそうな気もするが、実は現在のウナギノボリは「2代目」で、2014年に「初代」ウナギノボリがデビューしている。もちろん、オーナーは小田切氏。もしかして期待値マックスの渾身ネーミングだったりするのか? もっとも2代目を管理する音無調教師は「へえ〜ホント? それは知らなかったわ」と、にべもない。だが、知らないのも無理からぬところで、初代は美浦の高橋祥厩舎の管理馬。(勝ち上がる寸前まではいったのだが)4戦未勝利の成績だった。

「母がワナで、祖母がメロンパン? どちらもウチにいた馬やんか。まあ、今回のウナギノボリの母(ノンキ)もウチにいた馬やからな。ノンキにしてもそうなんだけど、小田切オーナーの馬は名前の印象が強くてさ。その馬自身がどんな馬だったかは、あまり覚えていないんだよな(苦笑)」

 なかなかの衝撃発言。個性的なネーミングセンスは名トレーナーの記憶力にまで影響を及ぼしてしまうのか。もっとも、ちょっと掘り下げたところで、それなりに記憶が戻ってきたようで…。

ノンキサンデーサイレンス産駒で期待はしていたんやけど、勝ち星は2つだったっけ? 繁殖に上がってからも結果がなかなか出なくてさ。で、(白老ファームから)同じ日高の中原牧場に移動したら、ウチにいたビックリシタナモー(JRA5勝)が出たわけ。攻め馬では目立たない馬やったし、乗り味も大したことないと聞いてたから、そこまで期待もしていなかったんだけどね。それはウナギノボリにも言えることで、デビュー前は心配事のほうが多かったんだけど、レース(中京芝1400メートル新馬戦1着)では予想以上に走ってくれた。父ドレフォンが良かったのか、サンデー肌のおかげなのか…。短いところがいいと思って使ったのに、あがってきた和田(竜)は“1400メートルでは距離が足らない”って(苦笑)。なのでここに使うんだよ」

 コマンドラインステルナティーア…。今回の相手はあまりに強く、馬名の話題性だけで通用するようなレベルではなさそうだが、陣営もつかみきれていない“意外性”が発揮されるようなら…。音無師いわく「兄貴の名前のようなビックリシタナモー的な結果になるかもしれんぞ(笑)」。そんな話をしているうちにウナギノボリという馬名も、なんだか響きがいいような気がしてきた。

(松浪大樹)

東京スポーツ

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