以前は
天皇賞・秋に向けた王道
ステップとしての意味合いが強かった
毎日王冠(10日=東京芝1800メートル)だが、間隔を空けてGIに臨むローテが主流となった近年は関連度が薄まり、むしろ18年の2着馬
ステルヴィオ、19年3着馬
インディチャンプがこのレースから直行で勝利したように、
マイルCSとの関係性が強まりつつある。
今年の主役
シュネルマイスターもここを
ステップに
マイルCS制覇を目標に掲げている。1週前追いでは直線、一杯に追われて2馬身遅れと不安がよぎったが…。手塚師に聞くと「先行した
ココロノトウダイもオープン馬で稽古も走る。かなり離れた位置から追いかけて、あそこまで差を詰めた。荒れた馬場を考慮すれば、時計的にも十分な内容(6ハロン82.9秒)だし、しっかり攻められた」と納得の口ぶり。
確かに10馬身近く離れた位置から追走しながら、ラスト1ハロンも11.4秒としっかり脚を伸ばせるのは地力の証し。「GI勝ちで56キロになるから斤量面は微妙だけど、調教を重ねるごとに良くなるタイプだし、思ったよりカーッとなっていないから距離も大丈夫そう」の言葉からも、上々の復帰戦を迎えられそうだ。
今週はジョッキーでも半年ぶりの「復帰」を迎える人がいる。4月4日の障害レースで落馬→首の骨を骨折し、休養していた
伊藤工真だ。昨年は
ロバートソンキーとのコンビで
神戸新聞杯で14番人気3着に激走し、
菊花賞(6着)にも出走。今年はさらなる飛躍を期待した矢先の大ケガだった。
「幸い神経などに影響は出ないでしょうと医師から言われたのでホッとしました。ただ、骨がつくのに2か月以上かかり、その影響で筋肉が硬くなって、首の可動域も狭くなっていましたから。痛みが出ない範囲で首を動かせるようになるまで、また時間を要しました」と本人。さらに「8月終わりぐらいに調教復帰する予定でトレーニングしていたのですが、腰を痛めてしまい、復帰がさらに遅れてしまいました。幸い2〜3週間で痛みが取れましたが、首の痛みが腰にも影響したのかもしれないです」とさらなる災難もあったという。
それでも「(所属する)金成先生は“不安がなく乗れるようになるまで待っているから”と言ってくれて心強かったです」。復帰を温かく迎えてくれた厩舎スタッフも含め「ありがたかったです」と周囲に感謝の言葉を重ねる。
9月12日、一足早く
ロバートソンキーが7か月半の休養を経て、復帰戦(2勝クラス・
長久手特別)で勝利。パートナーの復帰走に「いい走りを見せてくれたので、僕も頑張らないと…励みになりました」。続けて「ジョッキー生活の中で、ここまで長く戦列を離れるほどのケガをしたことはなかったですが、以前と同じ状態で馬に乗れることがありがたいですし、調教を含め、依頼された仕事にひとつひとつ大事に取り組んでいきたいです」。強い決意を語った
伊藤工真の手綱さばきに注目したい。
(美浦の工真応援隊・松井中央)
東京スポーツ