3歳トップクラスは例外なく
菊花賞(GI)を目指すべきという風潮も近年は薄れ、それに伴って
毎日王冠(GII)が3歳トップクラスの秋復帰初戦となるケースも増えてきました。2010年辺りからの、急激な3歳馬の出走増加。むしろ3歳馬が1頭しか出走しない今年のほうがレアケースと言えるのかも知れません。
同日に芝2400mの
京都大賞典(GII)が行われるため、比較的マイラーが集まりやすい芝1800m・
毎日王冠(GII)ですが、春の2大マイル王・
安田記念(GI)と
NHKマイルカップ(GI)の勝ち馬が同一年にその秋の
毎日王冠(GII)に出走するのは2012年に続いて9年ぶり史上2度目のことになります。おそらく今年の
毎日王冠(GII)は、
安田記念勝ち馬・
ダノンキングリーと
NHKマイルカップ勝ち馬・
シュネルマイスターの対決が話題になるのでしょう。
この両馬は既に
安田記念で直接対決しているのですが(1着対3着)、ひと夏を越しての力関係が最大の論点になってくるものと思われます。しかしここで注意すべきは、両馬の力関係よりも1800mという距離なのかも知れません。
安田記念と
NHKマイルカップはどちらも東京芝1600mコースのGIなのですが、同じ東京競馬場でも、今回の
毎日王冠はそれよりも200m長い1800mという距離。ここでひとつ、少し意外かも知れないデータを提示しておきましょう。
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NHKマイルカップ勝ち馬の、その後の競走成績
1600m以下 162戦【12-16-16-118】勝率約7%
1800m以上 81戦【11-9-7-54】勝率約14%
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安田記念勝ち馬の、その後の競走成績
1600m以下 60戦【14-10- 3- 33】勝率約23%
1800m以上 44戦【4-7-8-25】勝率約9%
※どちらも2001年以降。
JRA競走のみ。
NHKマイルカップの勝ち馬はその後(マイルよりも)長い距離で活躍し始めるのに対して、
安田記念の勝ち馬は1400mなど短距離での活躍が目立つようになる傾向にあります。そしてそれを踏まえた上で、下記の一覧が
安田記念勝ち馬の
毎日王冠成績です。
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安田記念勝ち馬の
毎日王冠成績(1986年以降)
1988年
フレッシュボイス 7番人気 6着
1990年
バンブーメモリー 2番人気 5着
1991年
バンブーメモリー 8番人気 6着
1993年
ヤマニンゼファー 2番人気 6着
2006年
アサクサデンエン 1番人気13着
2007年
ダイワメジャー 1番人気 3着
2008年
ウオッカ 1番人気 2着
2009年
ウオッカ 1番人気 2着
2010年
ショウワモダン 2番人気 9着
2011年
リアルインパクト 2番人気 2着
2012年
リアルインパクト 7番人気 4着
2012年
ストロングリターン 5番人気 7着
2015年
リアルインパクト 12番人気12着
2016年
ロゴタイプ 5番人気 8着
2017年
サトノアラジン 5番人気 2着
2019年
インディチャンプ 3番人気 3着
2019年
モズアスコット 5番人気 6着
延べ17戦0勝。驚いたことに、
安田記念勝ち馬は(1986年以降)一度たりとも
毎日王冠を勝てていないのです。レースレベルが高いのは間違いなく
NHKマイルカップより
安田記念のはずなのですが、今年の
ダノンキングリーはこの傾向を打ち破ることができるのでしょうか。たった200mの違いですが、距離的なモノも含めて考えたほうが良いのかも知れませんね。
ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで
毎日王冠を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
(文/岡村信将)