「ブ
リーダーズカップ諸競走・米G1」(6日、
デルマー)
世界のYAHAGIだ!競馬の祭典ブ
リーダーズカップ諸競走が行われ、BCフィリー&メアターフを
ラヴズオンリーユー(牝5歳)、BCディスタフを
マルシュロレーヌ(牝5歳)が制し、2頭を管理する
矢作芳人調教師(60)=栗東=は、海外でG1をダブル制覇する快挙を達成した。米国でのG1勝ちは05年の
シーザリオ(アメリカン
オークス)以来、ブ
リーダーズカップでの日本調教馬による勝利は初めて。また、調教師の同日海外G1・2勝は16年の
香港ヴァーズ(
サトノクラウン)、
香港C(
モーリス)を制した堀師以来となる。
まさに矢作劇場だ。勇躍、米国に乗り込んだ矢作厩舎の2頭が躍動した。最初に栄冠を手にしたのは7R・フィリー&メアターフの
ラヴズオンリーユー。道中は好スタートを決めて好位を確保。そこから楽な手応えでレースを進めたものの、4角手前で後続馬が動きだし、直線を向いた時は馬群に包まれて動けない状況に。それでも最後は狭い隙間を縫って、一瞬にして差し切った。
矢作師は「道中は厳しい位置取りになってしまいましたし、レース展開も決していいものではありませんでした。それだけに馬の強さが際立っていたと思います」とレースを振り返る。19年
オークス、21年香港クイーンエリザベス2世Cに続くG13勝目。しかも、日本調教馬で初となるブ
リーダーズカップ制覇を達成した。「アメリカ最大の競馬の祭典で、日本の競馬の力を見せることができて良かったです」と胸を張った。
ドラマはさらに続く。その後に行われた10R・BCディスタフでは、
マルシュロレーヌが9番人気の低評価を覆してV。半マイル通過が44秒97の超ハイペースを後方から追走し、3角から一気に追い上げる。4角では早くも先頭を奪い、そのまま押し切って鼻差の接戦を制した。これが同馬にとってG1初勝利となったが、日本馬がアメリカのダートG1を勝ったのも初めて。値千金の勝ち星を挙げて見せた。
トレーナーは「ペースが速くなり前が崩れてくれる展開を想定していて、その通りになってくれました。3コーナーで手綱を持ったままだったので、“もしかしたら”と思いました。勝てて良かったです」と管理馬の連勝に相好を崩した。これまではね返されてきた米国競馬の重い扉を
ラヴズオンリーユーがこじ開け、
マルシュロレーヌが続いた。この日、“YOSHITO・YAHAGI”の名前が、世界の競馬史に刻まれた。
提供:デイリースポーツ