皐月賞3着→ダービー3着→
菊花賞4着。
ステラヴェローチェはクラシックで無冠に終わった。付け加えれば、
朝日杯FSも2着。白毛馬
ソダシとの牡牝2枚看板でクラシックを大いに盛り上げてくれただけに、GIタイトルを取ってほしかったのが「須貝厩舎番」としての偽らざる本音である。それにしても1600メートルでのデビューから、3000メートルの
菊花賞までこなした
ステラヴェローチェは「超万能タイプ」と分類するべきか。
一方でデビュー時から「距離にこだわって使っていきたい」と須貝調教師が公言し、実行しているのがGII
デイリー杯2歳S(13日=阪神芝外1600メートル)に出走する
プルパレイである。デビュー戦(東京)こそ2着に敗れたが、未勝利戦(新潟)をレコードV、そして前走のアスター賞(中山)を連勝と距離マイルにこだわり続け、勢いをつけてきた。
「見ての通り、ゲートが速い馬なんだけどね。前走なんかはスローに落として他馬を引きつけ、最速上がりで突き放した。
ステラヴェローチェと違って、競馬が上手なのがいいよね」
ステラヴェローチェも担当する山田助手は「器用さ」を最大の武器として挙げており、この中間はさらなる進化を目指して調教に取り組んでいる。2週前の坂路追いで未勝利馬の
グットディールに後れを取ったのは“裏”があってのものだ。
「追い切りに乗ったミルコ(デムーロ)に言わせると“わざと遅れた”って。併せ馬の相手がいると抜かせないようにすごい根性を発揮する。だから抜けなかったことに対して、悔しい思いをさせたみたい」
楽に勝ち続けたことで馬が慢心するのが怖い。つまり、レースでの闘争心を失わないようにさせているのだ。
となると1週前のウッド3頭併せの追い切りで遅れたのも同様な意図があってのもの?
「いやいや、あれは後ろから行ってズドーンを狙ったんだけど、無理だったみたい(笑)。競馬でも後ろから行ったことがない馬だったので、思ったよりも動けなかったけど、まあ6ハロン80.0秒(ラスト1ハロン12.7秒)なら上等でしょう」
山田助手は意図した調教ではなかったと説明するが、後方からためる形よりも、先行して長く脚を使って、勝負根性でねじ伏せる形が合っているのを再認識できたのはむしろ収穫と言えようか。
父
イスラボニータは
皐月賞を制し、ダービーでも2着に好走したが、最終的にはマイルが主戦場に。本質はマイラーなのだろう。その産駒
プルパレイはクラシック戦線には見向きもせず、マイル一本で勝負する方針を固めている。
陣営のもくろみ通り、名マイラーへの道を突き進めるのか。この
デイリー杯2歳S(13日、阪神芝外1600メートル)で新馬→
新潟2歳Sを連勝中の大器
セリフォスを負かせば…。まずは山田助手が
ステラヴェローチェとのコンビで果たせなかった
朝日杯FS制覇が見えてくる。
(難波田忠雄)
東京スポーツ