「
エリザベス女王杯・G1」(14日、阪神)
20年に続き、阪神競馬場で行われた女王決定戦は、レース史上最高配当となる3連単339万超えの大波乱決着に。その主役を演じたのは10番人気の
キズナ産駒
アカイイト。最速上がりでラ
イバルをねじ伏せ、堂々とG1初挑戦初Vを成し遂げた。2着は7番人気の
ステラリア、3着には9番人気
クラヴェルが続き、人気を集めた
レイパパレと
アカイトリノムスメは馬群に沈んだ。
運命の赤い糸に導かれ、10番人気の伏兵が大仕事をやってのけた。G1初挑戦だった
アカイイトは、4角手前の勝負どころから猛然とスパート。ラ
イバル勢を一気にのみ込み、晩秋の仁川で3連単339万円超という大波乱を演出した。
スタートはやや出遅れ気味だったが、後方5番手の外めで機をうかがう。前半1000メートル通過が59秒0というタフ流れで先行勢が苦しくなる中、徐々に進出を開始。抜群の手応えを残して直線に向くと、最速上がりで突き抜けて2馬身差の完勝劇。戦前の扱いは伏兵だったが、レースぶりは間違いなく“強者”のものだった。
岡浩二オーナー×幸のコンビは、今夏の
北九州記念で熊本県産馬初の重賞Vを飾るも、
スプリンターズSの直前で故障し、引退を余儀なくされた
ヨカヨカと同じ。幸は、「思いのほか早く前をつかまえてしまったので、最後は後ろから来ないでくれという気持ちでした。
ヨカヨカはこれから頑張ってくれるというところで引退してしまいましたが、
ヨカヨカで重賞を勝ったことで今回の依頼を頂けたと思っています。岡社長の馬で結果を出せて本当に良かったです」と相好を崩した。
6度目(延べ7頭)の挑戦でG1初勝利を飾ったオーナーは「言葉にできないですね。
ヨカヨカが引退した時は、こんなにもG1は遠いものかと思いましたが、
アカイイトが
ヨカヨカの分まで走ってくれたのだと思います」と感無量。「今回、幸騎手が空いていたのは、馬名じゃないですが“赤い糸で結ばれていたのかな”と思います。競馬は筋書きのないドラマと言いますが、筋書きがあるのではという気持ちですね」と喜びを爆発させた。
父
キズナにとっても、この勝利がJRA・G1初制覇となった。一頭の熊本県産馬がつないだ縁-。それを力に変えた4歳牝馬が、これからも“絆”の力をターフで見せてくれるはずだ。
提供:デイリースポーツ