17年以来となる3頭(以上)の外国馬が参戦する
ジャパンカップ(28日=東京芝2400メートル)。3頭すべてがG1馬とネームバリューもそれなりだが、05年
アルカセットを最後に海外勢のVは途絶えている。例年通り、
チームジャパン内の覇権争いとなれば、
コントレイルが有終の美を飾る? いや、最後の直接対決で、世代トップ逆転を狙う
オーソリティにもチャンスがありそうだ。
オーソリティが同世代の
トップランナー・
コントレイルと直接対決したのは2歳暮れの
ホープフルSのみ。無傷の3連勝で初めてのGIタイトルを獲得した後の3冠馬に0秒8もの差(5着)をつけられたとあれば、2度目の対戦となる
ジャパンカップでの逆転は不可能に思える。ただ、
オーソリティのその後の足跡を見れば、「もしかして…」という期待を抱かせる。
3歳秋の
アルゼンチン共和国杯。骨折明けで半年ぶりの実戦、初の古馬相手で舞台はGII東京の長丁場という高いハードルをいとも簡単に乗り越えてみせた(0秒2差V)。過去20年で3歳馬の勝利は17年
スワーヴリチャードのみという壁を、厳しい条件下で突破したのだ。当時のルメールはレース後「トップスピードに入ると最後まで止まらなかったね」。そのスピードの持続力に驚きの声を漏らしている。
同じく半年ぶりとなった今年の
アルゼンチン共和国杯も圧巻だった。前年比プラス3.5キロのトップハンデをものともせずに、0秒4差完勝。この時、なんとルメールは「向正面で勝つ自信があった」と豪語している。「長期休み明け、斤量も背負っていた中で結果を出せて馬の成長を感じましたね」とは太田助手。同じレースの勝利であっても、時にかかり気味になることも少なくなかった馬が、しっかり折り合って運べたことに4歳になっての進化がはっきり感じ取れた。だからこそ、ルメールが向正面の時点で早くもVを確信したのだ。
もともと体質が弱く、キャリア10戦のうち7戦が2か月以上の休み明けで、最短間隔が20年
有馬記念の中6週という馬。中2週での頂上決戦は“禁断”のローテにも映るが…。見方を変えれば、それだけ馬に芯が入った証拠とも言えないか。
「前走でもしっかり仕上がっていたので、上積みというよりはいい状態をキープさせるというイメージで調整しています。使った後のダメージもなかったので馬は元気いっぱいですよ」と太田助手。その言葉通り、1週前追い切りの18日には南ウッドで7ハロン99.7-39.6-12.5秒と軽快な脚取りを披露している。
鞍上のルメールはここを勝てば歴代最多タイの
ジャパンカップ4勝目。頼りになる鞍上を味方に、世代トップ逆転Vへ――。それこそが、ひと足先に種牡馬入りする同世代のラ
イバルに対する最高のはなむけになる。
(特捜班)
東京スポーツ