4世代のダービー馬が激突する
ジャパンカップ(28日=東京芝2400メートル)。その中でも
コントレイルとともに大きな注目を集めているのが3歳世代の総大将
シャフリヤールだ。
今年のダービーはわずか10センチ差の大激闘。そこで2着に下した
エフフォーリアは
天皇賞・秋で
コントレイルや
グランアレグリアを破り、19年ぶりの3歳馬Vを達成した。「この世代は強い」。藤原英調教師がそう言い切るのは最大のラ
イバルの活躍も源になっている。
強い3歳世代の筆頭として臨んだ前走の
神戸新聞杯はまさかの4着。不良馬場が足かせとなり、本来の力を発揮できなかった。結果は度外視できるとして、気になるのは使った後の状態だ。藤原英調教師は「想定外に負担のかかるレースになってしまった。(
神戸新聞杯上位馬たちの)
菊花賞(の結果)を見ても分かるだろ。ケアには難しい面があった」としながらも「それでも馬体や体力、動きには1回使った効果と意味がある」とキッパリだ。
ひと夏越して「中学生から高校生になった」とトレーナーが成長を口にする
シャフリヤールは、秋2戦目を前にして期待通りの上昇カーブを描いており、「GIに使うというのはそういうことや」と自信を隠さない。格式も賞金も日本
トップレベルの大舞台。百戦錬磨の名門厩舎は万全の仕上げで期待の
ディープインパクト産駒を送り出す。
ただ、そんな
シャフリヤールにもひとつだけ懸念材料が。藤原英調教師をして「こればかりはやってみないと…」と話す一抹の不安。それは気持ちの問題だ。
「前走は最後にやめていたからな。あの馬場を走った後のメンタル面がどうか。そのあたりは生き物だけに、ふたを開けてみないと分からないところがある」
トレーナーが常々、口にする「心技体」。そのすべてが揃ってこそ、最大限の能力発揮が可能となる。厳しい経験を乗り越え、再び東京2400メートルで頂点に立つことができたなら…。
シャフリヤールはさらに上のステージへと進化を遂げることだろう。
自身を含めGI馬9頭がエントリーするハイレベルなメンバーが揃った今年の
ジャパンC。だが、
シャフリヤールにとって“最大のラ
イバル”となるのは、歴代のダービー馬でも、海外の強豪でもなく、自分自身なのかもしれない。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ