「
ジャパンC・G1」(28日、東京)
断然の1番人気に推された
コントレイルが、力強く末脚を放ってG1・5勝目をマーク。ラストランを圧倒的な内容で締めくくり、有終の美を飾った。令和の3冠馬の物語はこれで完結したが、今後は種牡馬としての大仕事が待っている。
父ディープインパクト、そして自らを超える子をターフへ送り出したい。
秋晴れの東京競馬場に、飛行機雲が真っすぐに伸びた。今回がラストランとなる
コントレイル。ラスト100メートルで先頭に立つと、最後は流す余裕すらあった。最後にして最高の走り。これまで苦楽をともにしてきた福永は涙を拭いながら、唯一無二のパートナーの首筋をなでた。
「きょうで終わりだと思うと、こみ上げるものがあります。立派でした。感動しました」
レースが動いたのは向正面。後方から
キセキから動く奇襲に出た。しかし、もはや他馬は関係ない。
コントレイルと自分の呼吸を合わせることだけに集中した。「向正面でいいポジションに入れたので、あとはリズムを守って無駄な脚を使わないように専念した」。完璧なレース運びだった。
2020年、
父ディープインパクト以来の無敗3冠という偉業を達成。しかし、その後は3冠馬3頭の対決となった20年の
ジャパンCで2着に敗れ、21年の
大阪杯は3着、前走の
天皇賞・秋も2着。周囲から「本当に強いのか」「恵まれた世代だったのでは」という声もささやかれた。しかし、鞍上は相棒の強さを信じていた。
「この馬が本当に強いということをみんなに知ってほしかったです。何がすごいって、三千を走れる馬ではないんですよ、今までの3冠馬と違って。調教次第では千二でも走れると思うくらいの馬ですから」
それを証明するにはここで勝つしかない-。不退転の決意で臨んだ現役最終戦だった。
今後は
父ディープインパクトの後継種牡馬として、血統を広げていく仕事が待っている。「無敗の3冠馬から無敗の3冠馬へ。これを継続できるのは
コントレイルだけ。そういう馬を送り出してくれることに期待したい」。無観客のなかダービーを制した令和のスーパーホースは、多くの観客に見守られながら府中のターフを後にした。
提供:デイリースポーツ