ひと昔前のダート界といえば、憎らしいほど強い横綱が幅を利かせて、なかなか世代交代を許さないイメージが強かった。しかし、今年のダート戦線は重賞勝ち馬がコロコロと変わり、複数の
JRAタイトルを手にしたのはここまで
オーヴェルニュ(
東海S、
平安S)のみ。確たる主役不在の戦国模様となっている。
このチャンピオンズC(12月5日=中京ダート1800メートル)も群雄割拠となる中、砂界の統一を虎視眈眈と狙っているのが
テーオーケインズ陣営だ。
「前走はチグハグなレースになってしまって…」
唇をかみしめながら、平助手が
JBCクラシックを振り返る。
「休み明け、しかも初めての環境ということもあり、いつもより馬がイレ込んでいました。結果的にそれが出遅れを誘因してしまい、全体的に流れに乗りにくいレースになってしまって…。それでも大きく崩れずに4着には来ているんですから、内容は悪くなかったと思います。中央の広いコースに替わるのはいいと思いますし、ゲートさえ五分なら」
今年は当舞台の
名古屋城Sを皮切りに、
アンタレスS→
帝王賞と破竹の3連勝。前走で連勝こそ止まったものの、ちょっとした修正をきっちり施せれば、ここから勢いが再加速することも…。
「普段から駐立の確認に行って“ゲートの中は安心なんだよ”と繰り返し教えています。走り慣れた中京に替わるのもプラス。この馬で地方のGIを勝たせていただいたので、今度は厩舎としても初めての中央のGIタイトルを」
逆転Vへ平助手がトーンを高めているのは、それだけ
テーオーケインズの成長を実感しているからでもある。
「最初のころはヤンチャで立ったり、跳ねたり…。競馬でもどちらかのハミにモタれて、コーナーで走りにくいところがありました。精神面がドッシリしてきたことで、最近はそういう面も解消して、能力と中身がかみ合ってきましたね」
4歳馬のチャンピオンズC制覇となれば、2017年
ゴールドドリーム以来4年ぶり。競走馬として充実期に入った
テーオーケインズによる、戦国ダート界の平定なるか。その走りから目が離せない。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ