ダノンファラオがゲート内で暴れたため、他馬は少し待たされる形になったが、16頭がほぼ横並びのスタートを切った。
松山弘平が乗る1番人気の
テーオーケインズもスムーズにゲートを出た。
「スタートで待たされたのですが、しっかり出てくれました。厩舎で練習をしてくれていましたし、馬が我慢してくれました」と松山。
2頭内の
インティ、すぐ外の
サンライズホープらを先に行かせて5、6番手につけた。
ハナを切ったのは、1枠1番から出た
ソダシだった。1、2コーナーを回りながら後ろとの差をひろげ、単騎逃げの形に持ち込んだ。
向正面で、
ソダシは1馬身半ほどのリードを保って先頭を行く。
テーオーケインズは、そこから3馬身ほど離れた好位を、掛かり気味に進んでいる。
「道中は理想的な位置で、リズムよく運ぶことができました」
そう松山が話したということは、折り合いを欠いていたというより、溢れるほどの活力を見せていた、と取るべきなのだろう。
ソダシが先頭のまま直線に向いた。しかし、外から
インティに被せられるようになって、苦しくなった。
抜群の手応えのまま直線に入った
テーオーケインズは
インティの真後ろにいた。
インティの外に持ち出され、松山が軽く仕掛けると一気に加速。ラスト200m手前で
インティを抜き去り、独走態勢に入る。松山が左ステッキを入れたが、これは
ゴーサインというより、内に切れ込んだのを修正するためだろう。
最後の5、6完歩は流すようにして、2着を6馬身突き放してゴールした。
「強かったです。前走(
JBCクラシック、4着)でゲートを上手く出られず悔しい思いをしましたので、強い姿を見せることができてよかったです」と松山。
ゲートを上手く出たことで本来のリズムを取り戻し、この圧勝劇につながった。
2着は道中後方に控えた
チュウワウィザード、3着は先行した
アナザートゥルースだった。
2番人気の
ソダシは12着。2番手につけた
インティが4着に残っていることからも、先行馬にとってキツい流れではなかったはずだが、いいところを見せられなかった。やる前からわかっていたことではあるが、やはり、初ダートでいきなりGIというのは厳しかったのか。道中で揉まれることも、砂を被ることもなかったので、この一戦だけでダート適性を見極めるのも難しい結果となった。立て直しに期待したい。
(文:島田明宏)