いよいよ2歳新馬も残すところ、今週を含めて、あと5日間の開催となる。来年になったら、3歳新馬があるんだから、特に大きな変更点はないはず、と思うところだが、実は「賞金」に大きな違いがある。

　2歳新馬の1着賞金は700万円。これに対して、3歳新馬は1着賞金が600万円なので、約15%も賞金ダウンとなる。他の着順も1着賞金からの割合となるので、同じように減っている。ということで、12月28日と1月5日では同じ新馬勝ちでも、100万円の差が出るわけだ。

　この賞金設定になっている以上、馬主サイドからすれば「できれば年内にデビューして欲しい」と願うのは当然のこと。しかし、馬を管理する調教師サイドからすれば、馬本位でデビューを目指すには、大きな足かせとなっている。

　主催者としては「ダービーからダービーへ」というサイクルを目指す一環としての制度なのかも知れない。でも、せめて「新馬戦」という同じ名称がつくレースであれば、同じ賞金でよいのでは、と思ってしまう。

【12月18日(土)　阪神芝1400m】

◆パンドレア(牝、父ロードカナロア、母ショウナンパンドラ、栗東・斉藤崇史厩舎)

　母は2015年ジャパンCなど、GIで2勝を挙げており、母系には競走だけでなく種牡馬としても大活躍したステイゴールド(父サンデーサイレンス)や今年の東京新聞杯を勝ったカラテ(父トゥザグローリー)などがいる。

　9月3日に栗東へ初入厩。9月16日にはゲート試験を合格して、一旦、ノーザンFしがらきへ放牧。11月23日に栗東へ再入厩した後は、坂路での追い切りを積み重ねている。12月9日はレースでも騎乗予定のC.デムーロ騎手が跨り、古馬1勝クラスを追走。楽に先着して、時計は4F54.2秒。「時計は遅くなりましたが、力のいる馬場だったことを考慮すれば、水準以上に動けています」と斉藤崇史調教師。

【12月19日(日)　阪神ダート1800m】

◆デシエルト(牡、父ドレフォン、母アドマイヤセプター、栗東・安田隆行厩舎)

　半姉に新馬勝ちした後、京成杯で1番人気に支持された(2着)スカイグルーヴ(父エピファネイア)がいて、母系にはルーラーシップ(父キングカメハメハ)、ドゥラメンテ(父キングカメハメハ)など、現在は種牡馬として活躍する馬たちが名を連ねている。そして、本馬は2019年セレクトセール当歳にて、税抜2億5000万円という超高値で落札されている。

　ゲート試験の合格は当サイトでもお伝えしたが、その後も順調に追い切りを消化。12月1日のCWでは古馬2勝クラスを圧倒する併せ馬先着の動きを見せ、12月8日のCWでは自動計測のタイムで、6F82.4秒、3F36.4秒、1F11.4秒と素晴らしい数字をマークした。追うごとに時計を詰めてきており、実戦での走りが本当に楽しみ。鞍上は岩田康誠騎手が予定されている。

【12月19日(日)　中京芝1400m】

◆ヒロシゲダンディ(牡、父ビッグアーサー、母ベルモントピノコ、栗東・北出成人厩舎)

　半姉に芝の短距離で4勝を挙げたベルモントラハイナ(父スウィフトカレント)、母系には2008年根岸Sなどダート重賞3勝のワイルドワンダー(父ブライアンズタイム)がいる血統。

　本馬は12月8日の坂路で4F52.4秒をマーク。テンから13.7秒でスタートしたにもかかわらず、ラストが12.5秒の最速ラップを踏むあたり、スピードだけでなく、パワーも兼ね備えた走りといった印象。「力のいる坂路でいい時計が出たように、パワーがあるタイプ。やるごとに前向きさが出ていたので、この距離でもスピードをうまくコントロールできれば」と北出成人調教師。鞍上は亀田温心騎手が予定されている。

◆モズゴールドバレル(牝、父Optimizer、母Sweeter Still、栗東・藤岡健一厩舎)

　半兄Kameko(父Kitten's Joy)はフューチュリティTS、英2000ギニーといったG1レースを勝っており、いずれのレースもO.マーフィー騎手が手綱を握っていた。

　本馬は11月19日のゲート試験に合格すると、栗東に在厩して調整を進める。坂路での併せ馬を積み重ねているが、12月8日の坂路では4F52.9秒をマーク。追い切るごとにその時計を詰めている。併せ馬でも遅れたことがないという気持ちの強さも見せており、初戦から動けそうなタイプだろう。

(取材・文：井内利彰)