「
有馬記念・G1」(26日、中山)
2021年、大ブレークを果たした
横山武史騎手(22)=美浦・鈴木伸=が、ファン投票1位の支持を得たG1・2勝馬
エフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸)と年末の
グランプリに挑む。東のリーディング首位をひた走る若武者は、19日に自身初の年間100勝を達成するなど、その勢いは増すばかりだ。パートナーにとって
年度代表馬の称号も懸かる大一番を前に、意気込みを聞いた。
◇ ◇
-暮れの大一番に、ファン投票1位の馬で参戦する。
「それだけファンの皆さんが
エフフォーリアを好きな証しだと思うし、期待してくれていると思うのでうれしいですね」
-
有馬記念のイメージは。
「印象に残っているのは、オヤジ(横山典)が
ブエナビスタで負けた時(09年=
ドリームジャーニーに差されて1番人気2着)。すごく悔しかった。G1中のG1ですからね。ダービーと並んで、価値のある大きなレースだと思っています。それは小さい時から、今も感じています」
-
エフフォーリアに初めて乗った時の印象は。
「去年の夏ですね。乗った瞬間、今までの馬とは別モノだって感じでした。他の馬たちには申し訳ないんですけど、とにかく別次元。ただ当時の自分は、
ウインマリリンでG2のフ
ローラSしか勝っていなかったから、さすがにG1を勝ったことがないジョッキーが『この馬、G1勝てる』とは言えなかったので、『重賞を勝てるレベルの馬』としか言えなかった。本当は『G1を狙える馬』って言いたかった。それほどでした」
-どのあたりが“別モノ”か。
「何に例えればいいのか…乗ったら違うんです。ハッキングで分かりました。柔らかくて、バネがあって体の使い方がうまい。なおかつ
パワーもある。欠点がないんですよ」
-ダービーでは悔しい思いをした。
「初めてですね、もう放心状態。(レース後に)周りの先輩からいろいろ声を掛けてもらったのですが、覚えていないです。今も完全に癒えてはいないし、正直、チラッと思い出すことがあるんです。でも、それがあったからこそ天皇賞に生かせたのかなと思います」
-その
天皇賞・秋を振り返って。
「春からまた一段と馬が良くなっていました。調教の雰囲気も今までで一番良かったです。何が逃げるか分からない状況で、どういう競馬になるかすごく悩みましたが、変に考え過ぎず、馬の力を発揮することだけを心掛けて臨もうと。結果的には理想的なポジションが取れたと思うし、折り合いもついて、馬の力を発揮することができたのかなと思います」
-強い年長馬が2頭(
コントレイル、
グランアレグリア)いた。
「メンバーどうこうより、まずは
エフフォーリアの能力を引き出すことが最優先なので。そうすれば結果がついてくると思ったし、その通りになってくれて良かったです」
-今回、本番に向けてプレッシャーは。
「もちろんあります。それは今回に限らず、天皇賞の時もありました。大きなレースで1番人気とか、上位人気の馬に乗れるなんて、なかなかないことですから」
-昨年末、関東リーディングを争っている時は“眠れなかった”と言っていた。
「今年はメチャメチャ眠れています(笑)。天皇賞の前の日も大丈夫でした。今年は大きいレースも勝てたし。
菊花賞を勝てたことで、気持ちに余裕も持てました」
-周囲の空気も変わってきた。
「ファンレターがすごく多く届くようになりました。以前はたまにでしたが、ここ一年ですね。全部読んでますよ。女の子も多いし、おじさんや同じ年ぐらいの男の人からも来ます。同性の人から“
パワーもらえます”って言われると、すごくうれしいですよ」
-
エフフォーリアにとって中山2500メートルは。
「不安はそこですかね。馬自身の能力に疑う余地はないけど、ト
リッキーなコースですから。スタミナは大丈夫だと思いますが、距離も今までで一番長くなる。中山が駄目というわけじゃないけど、スタート地点も少し
イレギュラーだし、コースを1周半。今までの競馬とは違った流れになるので」
-
菊花賞を勝った
タイトルホルダーは兄・和生が手綱を取る。
「まだ相談されてないけど、されたら答えようかなと。それは兄貴だからじゃなく、どのジョッキーに対しても当然のこと。でも敵なので、全力でつぶしに行きますけど(笑)」
-勝てば
年度代表馬の可能性も見えてくる。
「獲れるものは獲りたいですね」
提供:デイリースポーツ