「
地方競馬記者コラム 仕事 賭け事 独り言」
昨年に続いてコ
ロナ禍の中で生活を強いられた21年も間もなく終わる。記者が担当する兵庫競馬は1月2日の園田競馬開催から1月半ば〜4月1週目の姫路競馬開催があり、また園田に戻って大みそかまで万全の新型コ
ロナ感染対策を行い、入場人数制限なしの通常開催が行われた。コ
ロナ禍前と同じ形で通年無事に行われた競技、イ
ベントは21年ではそうそうないと思われるだけに、関係者の方々の努力には頭が下がる。兵庫競馬一ファンとして感謝を申し上げたい。
年末に当欄担当となったタイミングもあり、21年の兵庫競馬を振り返ってみたいが、記者が一番センセーショナルに感じたのは新人騎手の活躍。
佐々木世麗騎手=園田・新子雅、の活躍ぶりはどう表現していいのか分からないインパクトだ。ジェンダーレスの時代と認識されだした今の時勢だが、18歳のルーキー女性騎手が1年目からこれだけの勝利するシーンを見せている事実には驚嘆するばかり。4月13日のデビューから23日終了時点で86勝。同騎手が66勝で新人女性騎手1年間最多勝利記録数を更新後、師匠の
新子雅司調教師が「この後、デビューしてくる女性騎手が追い付けないと思えるぐらいの数、85勝ぐらいまで伸ばしてくれれば」と話してくれた数字に到達している。また、
大山龍太郎騎手=西脇・坂本和=も実質7カ月で51勝(23日終了時点)。3年連続300勝超の
吉村智洋騎手を始め、名手がそろう兵庫競馬での2人のこの勝利数は、減量の恩恵があるとはいえ本当に素晴らしい数字。通年騎乗となる22年はどんな数字となるか期待は増すばかりである。
競馬の主役である競走馬に転じれば、今年も20年の兵庫
年度代表馬のジンギ(牡5歳、兵庫・橋本明)が王者たる堂々とした勝ちっぷりを披露してくれた。今年獲得したタイトルは1月の「
神戸新聞杯・白鷺賞」、5月の「兵庫大賞典」、9月の「姫山
菊花賞」、12月の「
園田金盃」の4重賞。「苦手の夏場後の一戦で、いつもより反応がひと息だった」と橋本明師が振り返った姫山
菊花賞の勝利は、苦手な暑い時季の影響が残りながらも結果を出した完成の域に近づき、また力の違いを示した一戦。盤石だった
園田金盃の勝ちっぷりからもまだこの先も進化は続く。
3歳世代は見応えのある名勝負だった6月の「兵庫ダービー」が一番印象に残った一戦。優勝した
スマイルサルファー(せん3歳、兵庫・渡瀬寛)、鼻差2着の
シェナキング(牡3歳、兵庫・山口浩)の2頭には、ジンギをおびやかす存在へと成長することを期待したい。また、秋以降に快速ぶりを見せつけた
イグナイター(牡3歳、兵庫。新子雅)は22年兵庫競馬で最も注目したい有望株。
地方競馬3歳世代快速馬ナンバー1を決定する11月の「デイリースポーツ賞・楠賞」では初の地元馬として勝利し、先日22日に行われた「
兵庫ゴールドトロフィー(Jpn3)」では
テイエムサウスダン、
ラプタスのダート
グレードウイナー両頭相手に十分な健闘ぶりを示しての3着。この先は兵庫競馬のみならず、JRAを含めた全国の強豪相手に活躍が見込めるはずだ。
若駒も楽しみな素質馬がそろった。とりわけ、15日に川崎で実施された「全国2歳優駿(Jpn1)」で先行して見せ場をつくった
バウチェイサー(牡2歳、兵庫・新子雅)、10月の「
若駒賞」を制した
ガリバーストーム(牡2歳、兵庫・尾林幸)の2頭は、記者が見てきた当地4年間で2歳馬としては最高レベル。またこの先、他地区からの大物の転入があるかもしれず、クラシック戦線は相当ハイレベルな戦いとなりそう。来春が楽しみだ。
最後に31日を持って記者は兵庫競馬の担当を外れることになりました。競馬、組合関係者の皆様、読者の皆様、本当にありがとうございました。(デイリースポーツ・工藤修)
提供:デイリースポーツ