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白いヒロインを誰よりも知る厩務員が振り返る“リアル二刀流”ソダシの光と影

東京スポーツ
  • 2022年01月01日(土) 19時01分
 2021年の競馬界を盛り上げた一頭は文句なしにソダシだろう。史上初の白毛馬によるクラシック制覇、そして“リアル二刀流”ダートへの初挑戦と競馬ファンに数多くの話題を提供した。そんなソダシをもっとも知る担当の今浪隆利厩務員(63)にこの1年を振り返ってもらった。

――21年の始動戦となった桜花賞は1分31秒1の驚異的なレコードで勝利しました

今浪厩務員 放牧から帰ってきてゴールドシップみたいにすごくパワーアップしているのを感じていた。レースでも早めに先頭に立って押し切る強い競馬だった。僕自身、皐月賞菊花賞ゴールドシップで勝っていたけど、牝馬のクラシックは初めてだったので個人的にすごくうれしかったね。

――無敗のまま迎えたオークスは圧倒的な1番人気でした

今浪 桜花賞を勝ったことで周囲の期待も大きくなって、このあたりの時期はファンもいっぱい増えてさらに注目される存在になった。

 レースに関しては距離もあったと思うけど、1コーナーで他馬に厳しくプレッシャーをかけられて自分のリズムで走らせてもらえなかった。初黒星を喫してしまったけど、いい勉強になったレースだったと思う。

――その後は放牧を挟んで函館競馬場へ入厩して札幌記念へ挑戦

今浪 2歳のときも滞在したけど、落ち着きがあって馬の雰囲気は良かった。ただ、このころからかな。馬場入りをゴネたり、調教で止まったりして難しい面を出し始めた。レース自体は3コーナーを過ぎたところから自ら動いて着差以上に強い内容だったと思う。でも、今後へ向けて少し不安な面も残してしまった。

――秋華賞は断然人気で迎えました

今浪 在厩させたまま9月上旬に札幌から戻ってきたんだけど、すごいテンションが高かった。移動を含めてストレスが大きかったみたい。

 レース前には待避所で動かなくなってしまって迎えに行ったくらいだからね。競馬も3コーナーを過ぎたところから手応えが悪く、直線はまったく反応しなかった。すごい嫌な負け方で尾を引かなければ…と思うレースだった。

――そして二刀流となるチャンピオンズCに挑戦しました

今浪 前走の負け方が負け方だったので精神的な影響を気にしたけど、秋華賞の後に放牧へ出してゆったり歩けるようになった。落ち着きが戻ってストレスがなくなっていた。

 初ダートだったけど、スッと行き脚がついて先行して残り200メートルまで辛抱してくれていた。秋華賞は3コーナーでやめるような感じだったけど、最後まで諦めずに走ってくれた。敗れはしたけど、ダートの適性は見せてくれたと思うし、秋華賞に比べれば内容は格段に良くなっていて安心したね。

――最後に22年へ向けてひと言

今浪 今年だけで5走したけど、とにかく無事だったのが何よりだった。来年も芝、ダートとの二刀流にはなると思うけど、とにかく1年間、無事に過ごせるようにするだけだね。それで結果が伴えば言うことがないね。

(聞き手・難波田忠雄)

☆いまなみ・たかとし 1958年9月20日、福岡県生まれ。名古屋競馬などを経てJRA厩務員へ。内藤繁春、中尾正厩舎を経て2009年3月から須貝尚介厩舎所属。

 これまでの担当馬はGI6勝を挙げたゴールドシップ、13年阪神JFを制したレッドリヴェールなどでJRA・GI9勝、重賞19勝のスーパー腕利き。現在はソダシのほかにルビーカサブランカを担当。

東京スポーツ

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