シーズザデイがハナを切り、
ジャスティンヴェル、
モズゴールドバレルがつづく。
横山典弘が騎乗する10番の
マテンロウオリオンは、スムーズにインに切れ込みながら、
シーズザデイから2、3馬身後ろの先行馬群の内つけた。横山は少しだけ重心を後ろにかけ、ガチッと手綱を抑えている。
「前走(万両賞1着)は後ろで上手く折り合っていたんですけど、3戦目の今日は馬がやる気満々だったので、返し馬のときから抑えるのは難しいと思っていました。スタートもよかったので、ギリギリ引っ張り殺さないような、一番いい位置で折り合ってよかったです」と横山。
その後ろに
ビーアストニッシド、差なく
ソリタリオがいて、1番人気に支持された
クリストフ・ルメールの
ラスールはそれらの後ろにつけた。
ビーアストニッシドと
ラスールは、前に行きたがって折り合いを欠いている。
マテンロウオリオンは、引っ張り切りの手応えのまま3、4コーナーの内を回り、前を2馬身ほどの射程にとらえたまま直線へ。横山は、先頭を行く
シーズザデイの内に
マテンロウオリオンを誘導し、手の動きを速めた。その
ゴーサインに応えた
マテンロウオリオンは、ラスト300m付近で一気に先頭に躍り出た。
外から
モズゴールドバレル、
ソリタリオらが迫ってくる。伸びのいい
ソリタリオが並びかけようとしてきたラスト200m地点を過ぎてから、横山は初めて右ステッキを入れた。
ソリタリオが差を詰めようと接近すればするほど、
マテンロウオリオンは抜かせまいと脚を伸ばす。並ばれてからの強さ、いや、その前に簡単には並ばせない強さは、
父ダイワメジャー譲りのものか。
マテンロウオリオンが、
ソリタリオの猛追を首差で退け、先頭でゴールを駆け抜けた。
今日の中京の芝は前がなかなか止まらず、外差しの利きづらいレースがつづいていただけに、それを意識した部分もあっての先行策だったのかと思いきや、横山は「馬本位です」と言い切った。
一方、単勝1.8倍という圧倒的支持を得ていた
ラスールは、コンマ6秒差の7着に終わった。直線入口で前が壁になっており、スムーズに進路を確保できなかったこと以上に、道中折り合いを欠いたことが響いたように見受けられた。
マテンロウオリオンは、2着となった新馬戦から中1週で万両賞、さらに中1週でここという厳しいローテーションで結果を出した。2代母が
オークス馬
レディパステルという奥行きのある血統だけに、今後もスケールの大きな走りを見せてくれそうだ。
(文:島田明宏)