最も速いスタートを切ったのは、10番枠から出た
菅原明良の
オニャンコポンだった。菅原は手綱を抑えて、内の
ニシノムネヲウツ、
タイセイディバイン、外の
テラフォーミングらを先に行かせ、やや外目の6、7番手で1、2コーナーを回って行く。
ニシノムネヲウツがハナを切り、
タイセイディバインが3/4馬身から1馬身ほどの差で2番手につけ、向正面へ。
オニャンコポンは、先頭から4馬身ほど離れた絶好位。すぐ内には1番人気の
アライバルがいる。
「スタートがとても速くて、センスがいい馬です。とても競馬がしやすいです」と菅原が話したとおり、前をつねに射程に入れつつ、すぐ近くに有力馬を見るという、レースをコントロールしやすいポジションで折り合っていた。
ニシノムネヲウツが先頭のまま、馬群は3、4コーナーを回って行く。
ラスト600m付近で、
オニャンコポンはやや置かれ気味に見えた。内の
アライバルに先に行かれ、ラスト400m付近まで前がずっと壁になっていた。
それでも菅原は進路ができるのを待ち、伸び脚のいい
ロジハービンの外に
オニャンコポンを持ち出し、
ゴーサインの左ステッキを入れた。ラスト200m付近で鞭を右に持ち替え、さらに追う。先に抜け出した
ロジハービンに外から並びかけ、外にヨレかけたらすぐさままた鞭を左に持ち替え、巧みに軌道を修正しながら追いつづけた。その叱咤に応えた
オニャンコポンが、2着の
ロジハービンに1馬身1/4差をつけ、重賞初制覇を果たした。
「前走より少し我慢をさせて競馬をしたんですけど、3、4コーナーで手応えがとてもよかったので、直線で伸びてくれるといいなと思って乗っていました。デビューしたときから力のある馬だと思っていたので、結果を出すことができて、とても嬉しいです」
新馬戦(1着)、
百日草特別(1着)、
ホープフルステークス(11着)、そして今回と、すべてのレースで手綱をとってきた菅原はそう振り返った。
菅原にとっては、昨年の
東京新聞杯(
カラテ)以来の重賞2勝目。デビュー4年目の若武者が、パートナーの瞬発力を見事に引き出し、クラシックへの切符をつかみ取った。
(文:島田明宏)