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【TCK女王盃回顧】直線瞬発力勝負でテオレーマ完勝/斎藤修

  • 2022年01月27日(木) 18時00分
 地方競馬で行われるJpnIIIのダートグレード競走は、2歳戦を除いてほとんどがグレード別定かハンデ戦で、GI/JpnI勝ち馬ともなると極端な斤量を課せられることもめずらしくないが、TCK女王盃は唯一の賞金別定。それも極端な重量が設定されているわけではなく、基準重量54kgに対して、昨年JBCレディスクラシック(金沢)を制したテオレーマは56kg。そのほか有力馬とは同重量か1kg差という恵まれた重量差もあり、JpnI馬らしい貫禄の勝利となった。

 予想されたとおり逃げたのはケラススヴィアで、600m通過が38秒4、1000m通過が63秒9というダートグレードとしてはゆったりしたペース。中盤でもペースは上がらず、それゆえ3コーナーあたりでは馬群が凝縮。直線を向くと、圏外の2、3頭以外、横にずらっと広がってのヨーイドンとなった。

 テオレーマは、道中は中団よりうしろの9番手追走だったが、3コーナー過ぎから徐々に位置取りを上げ、4コーナーを回るあたりでは先行勢の直後まで進出していた。長い直線の瞬発力勝負は得意とするところで、外に持ち出して視界は完全に開けていただけに、メンバー中最速の上がり3F=37秒0という脚を使っての完勝となった。

 表彰式後の川田将雅騎手のインタビューでは「これから1年間またいろいろな場所に出向いて……」と話していたので、6歳の今年も現役を続けるのだろう。次走について言及はなかったが、エンプレス杯ということであれば、JpnIIゆえGI/JpnI勝ち馬2kg増という、それほど厳しい重量差にはならず、マルシュロレーヌ不在となれば引き続き中心的存在。ただし、基準重量55kgに対しての別定2kg増なので、初めて経験する57kgがどうか。

 2着は馬群をさばいて内から伸びたショウナンナデシコ。好位4番手を追走し、直線を向いて前にいたケラススヴィアが一杯になったところで、その隣にはダノンレジーナもいたため、一瞬進路に迷う場面があった。それでクビ差は惜しかった。ただ勝ったテオレーマのほうは最後余裕があったので、直線スムーズに運べても逆転まではどうだったか。

 そこから2馬身差で3着がブランクチェック。道中はテオレーマより一列前にいたが、4コーナー手前で外からテオレーマが上がっていったところで前が壁になってしまった。そのぶん、直線ヨーイドンのタイミングが遅れてしまった。直線までにうまくさばけていればもう少し際どい勝負になったと思われる。

 レーヌブランシュはスタートでダッシュがつかず、外からダノンレジーナにかぶされたことで5番手まで位置取りを下げての追走。直線では横にいたショウナンナデシコが進路に迷ったところで、前のダノンレジーナが壁になって、さらに追い出しが遅れてしまった。昨年のレディスプレリュードでは2番手から早めに先頭に立って差を広げテオレーマを完封したが、今回は自分の形に持ち込めなかった。

 単勝一桁台の中央4頭が上位を占める結果で、この4頭は、ペースや展開、コース形態など条件次第で、能力的にはそれほど差はなさそう。ただ、今回が地方のダートグレード初参戦だったショウナンナデシコブランクチェックは、地方のダートグレードとなると、限られた中央の出走枠に入れるかどうか。

 ケラススヴィアは、同じ大井1800mの東京プリンセス賞では、1000m通過63秒0というペースで逃げて7馬身差の圧勝となったが、今回はそのときよりも楽なペースで逃げたものの直線失速して最下位。直線瞬発力勝負は向いていないだろうし、川崎2100mの関東オークスで中央馬相手に2着があったとはいえ、本質的にはマイルあたりまでなのではないか。

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